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政策学会講演会特集

政策学会講演会(レポート)
『SDGs時代における社会起業家の役割-ウガンダの事例より』

テーマ 『SDGs時代における社会起業家の役割-ウガンダの事例より』
講師 仲本 千津氏
日時 2023年12月22日(金)9:00~10:30
会場 Z21

 去る12月22日、政策学会講演会に講師として、株式会社Ricci Everyday代表取締役の仲本千津氏をお迎えし、「SDGs時代における社会起業家の役割-ウガンダの事例より」というタイトルでお話いただいた。仲本氏は、社会起業家として現在の企業を立ち上げる前に、一橋大学大学院で国際政治を修めた後、大手銀行での勤務を経て、財団法人でプログラムオフィサーを務めるなど、非常に多岐に及ぶご経歴から、SDGs達成のための社会起業家の役割と意義について詳細な講義資料を用意され、ウガンダでの実例を交えながら明快にお話になった。
 ウガンダを含むサブ・サハラアフリカの女性の貧困率は高い。仲本氏は、前職でウガンダの都市部において暮らした経験から、特に都市部で暮らすウガンダのシングルマザーの貧困問題を目の当たりにし、彼女たちの貧困解消と生計向上を目指してウガンダで起業をし、アフリカンファブリックを使用してバックの製造・販売をするに至った。仲本氏のすごさは単に、ビジネスを通して途上国の社会課題の解決を目指すだけではない。アフリカンファブリックを製造する企業まで自ら出向き、環境に負荷がかかっていない方法で生産されているかどうか、材料である布の製造工程の細部まで気を配っておられる。かつ、製品が消費者に届くまでの工程も非常に簡素化し、生産者と消費者との距離を短くする工夫もされている。つまり、仲本氏はサプライチェーンの最初から最後まで責任を負う、というような企業行動をとられているのである。企業家としての責任ある社会行動の模範といっても過言ではない。
 最後に今後の抱負を熱く語られて、講演を終わられた。参加者が非常に熱心に聞き入り、絶え間なくノートを取っている光景が印象的であった。

(政策学部教授 岡本由美子)

川口 貴久氏