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政策学会講演会特集

政策学会講演会(レポート)
『デンマークの幸せで持続可能な社会づくり~エネルギー編~』

テーマ 『デンマークの幸せで持続可能な社会づくり~エネルギー編~』
講師 ニールセン北村朋子氏
日時 2023年1月12日(木)10:45~12:15
会場 オンライン(ZOOM)

2023年1月12日、環境法のゲストスピーカーとして環境ジャーナリストであり、デンマークと日本をつなぐ文化翻訳家のニールセン北村朋子氏をお迎えし、「デンマークの幸せで持続可能な社会づくり」というタイトルでお話しいただいた。
まずは、気候変動適応について、熱帯エリアの拡大が急速に進んでおり、過去30年間で緯度が10度以上広がっている事実から、実は日本も関東地域までは熱帯になっているなど、気候変動適応、SDGsへの取り組みは「できるかできないか」ではなく「やるかやらないか」であるというお話があった。
デンマークのエネルギー政策では、2012年に2050年までに電力、熱、産業、輸送全てにおいて、再生可能エネルギーに転換することが定められ、これを8年ごとに政権交代が生じている政治体制の中でも、破棄をせずに維持するという合意が取れており、デンマークが世界におけるエネルギー、環境を重視するポジションを維持するという思いがあるとのことであった。44年ぶりの大連立となった新政権は、2045年までに二酸化炭素の実質排出量をゼロにというさらに野心的な方針を示しており、世界初となる農業への二酸化炭素税の検討が進められ農業分野でのグリーンシフトのお話は、デンマークの二酸化炭素排出量の3分の1を農業分野が占める現状から大きな驚きを受講生に与えた。
北村氏が制作に携わられた映画「コペンハーゲンに山を」のモデルである首都・コペンハーゲンのゴミ処理場(リサイクルセンター)の非常にユーモラスな施設の特徴を紹介いただいた。発電所と熱供給施設の複合施設であるだけでなく、スキー場や、カフェ、バーなどが併設され、市民の憩い場としての機能も付与されていることに、多くの受講生が強い関心を覚えた。後半では、「食と脱炭素とSDGs」として、デンマークにおける食からの環境への取り組みについてもお話が及び、身近なライフスタイルの変化から環境問題を考える視点が重要であると示された。
最後に、日本は世界にとってどんな特徴があるのか、地球を守るために日本はどんな選択をするのかを考えることが重要であるというお言葉をいただいた。
受講生からはデンマークの人々はなぜそこまで世界のために環境への取り組みができるのかという質問や、ゴミ処理場に対する日本とデンマークの認識の違いに驚くコメントが上がり、盛況のうちに講演会は終了した。

(政策学部准教授 小谷 真理)

ニールセン北村朋子