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政策学会講演会特集

政策学会講演会(レポート)
『「前向き」訴訟を活用する世界の若者たち:気候訴訟の現状と可能性』

テーマ 『「前向き」訴訟を活用する世界の若者たち:気候訴訟の現状と可能性』
講師 一原 雅子 氏
日時 2025年12月10日(水)10:45~12:15
会場 R201

 去る12月10日、政策学会講演会にて京都大学大学院法学研究科附属法政策共同研究センター・環境と法ユニットの特定助教、一原雅子氏を講師に迎え、「『前向き』訴訟を活用する世界の若者たち:気候訴訟の現状と可能性」をテーマにご講演いただいた。一原氏は、米国コロンビア大学ロースクールのSabin Center for Climate Change Lawにおいて、アジア地域における気候法研究や政策提言に携わり、気候変動問題の最前線で国際的に活躍されている。
 講義は、パリ協定以降、世界的に増する気候訴訟の中でも、若者や将来世代が原告となり、訴訟を通じて政策形成に影響を与える動きに焦点が当てられた。その特徴として、①過去の責任追及ではなく未来の気候状態を確保する「前向き訴訟」であること、②若者や次世代が原告となる事例が多いことが説明され、バヌアツの学生運動を契機とした国際司法裁判所への勧告的意見要請や、オランダ・韓国での排出削減命令、日本での若者気候訴訟などが紹介された。
 Formsを用いた質疑では約80件の質問が寄せられ、学生の関心の高さが際立った。同世代の原告事例に触れ、驚きとともに問題への理解を深める様子が見られた。終盤では、気候訴訟が行政・立法の不十分な対応に対し、市民が司法を通じて政策形成を促すボトムアップの手段であること、従来の公害訴訟とは異なる広範な時空間スケールを伴う課題であることが強調された。最後に、若者が法律を有効なツールとして理解し、ローカル・ナショナル・グローバルの視点を併せ持って行動することの意義が力強く語られ、そのメッセージは学生に強い問題意識と主体的な次の一歩を考える契機となり、講義は締めくくられた。

(政策学部准教授 小谷 真理)

20251210一原氏     (121643)