政策学会講演会特集

　2022年11月18日、政策学会講演会に株式会社エクス代表取締役社長の抱厚志氏をお招きして、「起業家の本質～起業家という生き方を選択すること～」について講演いただいた。抱氏は同志社大学文学部を卒業して大手Sierで生産管理システム開発販売に従事された後に、株式会社エクスを設立して同社の代表取締役に就任された。現在、抱氏は企業経営のかたわらご自身の多才な能力を発揮され、生産管理システムの構築支援や講演会、執筆活動に目覚ましい活躍をされている。
　講演の最初に、失われた20年と日本の起業事情について丁寧な解説をいただいた。豊富なデータをもとに、失われた20年をふまえて日本の後退国化が現実を帯びている状況、日本の中小企業が直面している課題、ならびに海外と比較するなかで日本における起業を取り巻く環境の厳しさを示唆いただいた。そして、そのような中で抱氏が起業に至った経緯を、起業することの意義をふまえながら丁寧に解説していただいた。
　次に、今後日本が直面する２つの問題について解説いただいた。日本の労働力不足から起因する問題について教示していただいた後、企業にとって深刻な影響を及ぼす「2025年の壁」について興味深いデータとともに説明いただいた。
　そして次に、講義の核心的部分である「起業家の本質～起業家に求められること～」について講義いただいた。特に「成功した起業家に共通すること」を９つの視点から、「これからの経営者に求められること」を６つの視点から解説いただいた。このような内容は、起業ならびに企業経営の様々なシーンを乗り超えてきた抱氏だからこそ語れる内容であり、一つひとつの言葉に込められた熱い志に触れ、会場は熱気に包まれた。
　最後に抱氏より「起業を通じて学んだこと」に関して、抱氏の行動哲学について講義いただいた。起業、企業経営、そして数々の体験を通じて多方面で活躍されている抱氏だからこそ語れる力強く、かけがえのない言葉であった。本日のお話は、起業家を選択するという視点からのお話であったが、同時に受講生がこれらからの不確実な世の中をどのように生きていくかを示唆していただく極めて重要な機会となったものと考える。