政策学会講演会特集
政策学会講演会(レポート)
『日本の国連政策』
テーマ | 『日本の国連政策』 |
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講師 | 安藤 重実氏 |
日時 | 2022年11月16日(水)10:45~12:15 |
会場 | 新町キャンパス 臨光館R301 |
去る2022年11月16日,
同志社大学政策学会講演会に外務省総合外交政策局国連企画調整課長の安藤重実氏をお迎えし、「日本の国連政策」というタイトルでご講演いただいた。安藤重実氏は1999年に外務省に入省され、長年にわたり、外交における国内外における交渉や、政治・経済等幅広い政策立案に従事されている。今回は、日本の国連に対する外交政策について、実務のご経験を交えてお話をいただいた。
まず、国内政策と比較した時に、国際社会の特徴である主権平等すなわち、規模に関わらず主権を持つ国家は皆平等であるが故の国際社会における規範構築と施行の難しさについて言及され、外交は正解のない問題であるとべられた。次に、学生たちに対し、ロシアによるウクライナ侵攻についての質問をされ、国連総会等で同様の議題の採決結果から、この度の侵略行為に対する評価については加盟国間で相違があることを説明された。さらに、国連総会における岸田首相の一般討論演説を引用され、国連憲章の理念と原則を再確認した上で、国連自体の改革と機能強化が不可欠であることを強調された。
続いて、国連における安全保障理事会の役割とその改革についてのお話では、各国の間で国連の現状への不満を求める声が高まっている現状について説明された。また、日本の国連分担率が2000年以来下降傾向にある中で、財政面では国際機関を通じた影響力を維持することは困難であることから、今後は国連等の日本人職員の増加による人的貢献を目指す必要性を指摘された。さらに、国連に対する日本の人事政策の一つとして、外務省による若手人材向けの取組であるJPO派遣制度についてご説明いただいた。最後に、将来の不安を抱えている学生に対して、チャンスを掴むこと、幅広く勉強すること、自分の強みや弱みを把握することなどをアドバイスされ、ご講演を締めくくられた。講演会には、国際機構の受講生のみならず、他の政策学部生も数多く参加しており、今日の国連外交に対する関心の高さがうかがわれるとともに、その第一線で活躍される方のお話を伺う貴重な機会となった。
(政策学部准教授 根岸祥子)