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政策学会講演会特集

政策学会講演会(レポート)
『ガーナでの森林保全活動は何故、成功したのか-企業の環境経営の事例として』

テーマ 『ガーナでの森林保全活動は何故、成功したのか-企業の環境経営の事例として』
講師 岸 和幸氏
日時 2021年12月17日(金)9:00~10:30
会場 Zoomにて開催

 去る12月17日、政策学会講演会に講師として、現在、東京都市大学の特任講師でもあり、かつ、キシエンジニアリング(株)代表取締役の岸和幸氏をお迎えし、「ガーナでの森林保全活動は何故、成功したのか-企業の環境経営の事例として」というタイトルでお話をいただいた。岸氏は、1987年にIT企業にSEとして入社されてから非常に多岐に及ぶご経歴をお持ちであるが、2001年から(株)リコーで生物多様性保全の事業開発に取り組まれた。その活動は企業の先進的取り組みとして国内外から高く評価され、2010年生物多様性COP10で企業事例として紹介された。岸氏はそのご経験のお話しを交えながら熱く語られた。
 ずばり、2つの成功要因をあげられた。一つ目は、森林を保全しながら地域住民の安定的な生活基盤が構築できる事業を確立したこと、2つ目は、地域住民がその環境保全型事業の運営において最後は自立することができたことである。地域住民が‘自分事’として本プロジェクトを捉え、主体性を発揮し、最後は外部からの協力なしでも事業が運営できるようになったことは、見事と言う他はない。また、それを補完する要因として、国際的に知名度が高い、コンサベーション・インターナショナルのガーナリージョナルオフィスやガーナの地元のNGOと連携を密にとったこともあげられよう。SDGsを達成するためには世界で影響力を持つ大企業の行動変容も不可欠であるが、日本の大企業といえども、他国の、それも、日本から遠いアフリカの彼方で、単独で実施をすることは不可能である。したがって、本事例は、様々なアクターが国境を越えて連携し、社会問題や課題を解決していくという、グローバル社会の今後のあり方に対して大いに示唆に富む結果を導出してくれていると言えよう。
 最後は、サステナビリティ経営における「自然資本」の重要性について、講義は終了した。講演会にはグローバル経済論の受講生のみならず他の政策学部の学生さんの参加も多数あり、企業におけるSDGsへの取組みの関心の高さを窺う事ができた。それと同時に、講演後には参加者からの鋭い質問が出て、熱気あふれる中、会を終了した。

(政策学部教授 岡本由美子)

岸 和幸氏