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政策学会講演会特集

政策学会講演会(レポート)
『アフターコロナの世界貿易体制』

テーマ 『アフターコロナの世界貿易体制』
講師 深作 喜一郎氏
日時 2021年7月1日(木)9:40~10:30
会場 Zoomにて開催

 去る7月1日、政策学会講演会に講師として、元OECD開発センター地域開発部長で現在国際エコノミストとして活躍されておられる、深作喜一郎氏をお迎えし、「アフターコロナの世界貿易体制」というタイトルでお話しをいただいた。深作氏は、OECDに勤務される以前には、WTOの前身であるGATTにもエコノミストとして勤務されたご経験があり、それも交えながら外部からはなかなかわかりにくい世界貿易体制について、わかりやすくお話しをいただいた。
 まずは、現在の世界貿易体制であるWTO体制がどのような経緯で構築されてきたのかその歴史的変遷と、WTOという国際機関が本来果たすことが期待されている役割についてお話しをいただいた。それに続き、現在、WTO体制が何故、かつ、どのような機能不全に陥ってしまっているのか、その理由をわかりやすく述べていただいた。その中で、本来行われるべきWTO体制下でのラウンド交渉、及び、貿易紛争処理機関としての役割が現在ほぼストップしまっており、このような状況は世界経済全体にとって決して望ましいものではない、ことを強調された。とりわけ、コロナ禍で露呈された問題(例えば、マスク等々の我々の生命に不可欠なエッセンシャル・グッズの輸出禁止やワクチン国家主義といった問題)や、コロナ禍で進展したデジタル貿易に関する国際間ルールの設定は世界が対処すべき喫緊な問題・課題であり、アフターコロナにおけるWTO体制の復活の重要性について繰り返し述べられた。
 最後に、WTO体制の復活の鍵はアメリカの中間選挙と次の大統領選挙にあるが日本の果たすべき役割も依然大きいと述べられ、講演会が終了した。本講演には国際貿易の受講生のみならず他の政策学部の学生さんの参加もあり、現在の国際経済に対する興味関心の高さをうかがう事ができたのと同時に、講演後には多くの参加者からの質問が出て、熱気あふれる中、会を終了した。

(政策学部教授 岡本由美子)

深作 喜一郎氏