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政策学会講演会特集

政策学会講演会(レポート)
『航空会社が担う地域活性化』

テーマ 『航空会社が担う地域活性化』
講師 本田 俊介 氏
日時 2026年7月2日(木)16:40~18:10
会場 Z30

 去る2026年7月2日、株式会社フジドリームエアラインズ(FDA)代表取締役社長の本田俊介氏をお招きし、「航空会社における地域活性化」をテーマにご講演いただいた。本田氏は、日本エアシステムへの入社後、長年にわたり日本航空(JAL)において国内線の路線計画やレベニューマネジメント、地域事業などを担当し、株式会社ジェイエアの代表取締役社長も歴任されている。現在は、これまでの豊富な経験を生かし、地域航空会社の経営と地域活性化に取り組まれている。

 講演ではまず、FDAの事業概要と企業理念が紹介された。FDAは、地方空港の利用を通じて地域間の交流を拡大し、地域同士の結びつきを強めることで日本全体を豊かにするという「地参地翔」の理念を掲げている。定期便に加えて、全国各地の地方空港を結ぶチャーター便を積極的に運航していることや、機体ごとに色が異なる「マルチカラー・コンセプト」、地域の商品を取り入れた機内サービスなど、地域とのつながりを重視したFDA独自の取り組みが紹介された。

 続いて、国内航空が現在、大きな転換期を迎えていることが示された。コロナ禍から旅客需要が回復する一方、燃料価格や人件費、整備費などのコストが大幅に上昇しており、国内線は利用者や売上げが回復しても十分な利益を確保することが難しい構造にある。本田氏は、従来の運賃や路線運営の仕組みだけでは持続可能な経営が困難になりつつあり、路線の再編、航空会社間の役割分担、チャーター便の拡大、航空以外の収益の確保など、ビジネスモデルそのものを見直す必要性を指摘された。

 その一方で、国内航空需要には、なお成長の余地があることも語られた。現在、国内線を利用している実人数は、日本の総人口と比べて限定的であり、増加する訪日外国人旅行者の地方への誘客も含め、新たな需要を開拓する可能性が残されている。航空会社には、単に既存の需要に応じて航空機を運航するだけでなく、「地域と地域」「地域と世界」「人と人」を結び、新たな人の流れを生み出す役割が求められている。そのためには、観光客を一時的に呼び込むだけでなく、地域を繰り返し訪れ、継続的に関わる「関係人口」を創出することが重要であると説明された。

 講演の後半では、航空会社だけでなく、空港自体が地域活性化の主体となる必要性が示された。事例として、民営化後に「空港型地方創生」を掲げ、旅行事業や地域連携DMOの機能も担いながら、空港を中心とした地域づくりを進める南紀白浜空港の取り組みが紹介された。航空会社や空港、自治体、観光事業者、宿泊・飲食事業者、地域住民などがそれぞれの知識や経験を持ち寄り、地域全体で需要を創出することが、航空路線と地域経済の双方を持続可能にするとの指摘は、非常に示唆に富むものであった。

 最後に本田氏は、社会の課題を自らの仕事と結びつける「社会性の意識」が、新たな価値を生み出す原動力になると語られた。また、航空業界が直面する困難についても、単なる逆境ではなく成長につながる「試練」として前向きに受け止め、努力を続けることの大切さを学生に伝えられた。本田氏の講演は、航空会社の経営と地域活性化を一体的に捉えるとともに、企業が経済的価値と社会的価値をどのように両立させるべきかを考える貴重な機会となった。

(政策学部准教授 安達 晃史)

20260702本田氏        (141044)