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『政策学会講演会特集』

政策学会講演会(レポート)
『AIの進化・働き方と2040年経済予測』

テーマ 『AIの進化・働き方と2040年経済予測』
講師 石橋 英宣 氏
日時 2026年5月18日(月)14:55~16:25
会場 Z21

 去る2026年5月18日、政策学会講演会を開催し、公益社団法人日本経済研究センター主任研究員の石橋英宣氏を講師としてお迎えした。石橋氏には、『日本経済研究センター第52回中期経済予測』に基づき、「AIの進化・働き方と2040年経済予測」と題してご講演いただいた。

 中期経済予測は、今後15年程度にわたるマクロ経済の見通しを示したものである。今回の講演では、とりわけAIの進化・普及が働き方にどのような影響を及ぼすのかに焦点を当てて解説いただいた。

 少子高齢化の進展や気候変動への対応が求められるなか、日本経済には技術進歩による成長が不可欠である。そして、その技術進歩を牽引する存在がAIであることは疑いない。しかし、AIの普及を進めるだけでは高い成長率の実現は難しく、AIの活用に適した産業構造への転換や労働市場・働き方の改革が求められる。現状、日本は諸外国と比較してAIの実装が遅れており、このままではAIによる技術革新の効果を十分に享受することは難しいとの見解が示された。

 対応策の一つとして、防衛費増額の内訳を工夫することが挙げられた。近年、安全保障分野においてもAIの重要性は高まっている。そのため、防衛費に占める研究開発費の割合を拡大することで、AI開発競争における日本の遅れを取り戻す可能性があるという。また、AI人材の育成や関連企業への支援を通じて、生産性向上を図ることの重要性についても指摘された。

 さらに、働き方の見直しも重要な課題として挙げられた。AIの導入を生産性向上につなげるためには、それに適した雇用慣行や労働環境の整備が必要である。非正規雇用への依存度が高い日本の労働市場では、人件費を抑制しやすいことが、かえってAI導入のインセンティブを弱める可能性がある。そのため、ジョブ型雇用のさらなる普及や中途採用市場の拡大を通じた同一労働同一賃金の浸透、正規・非正規雇用間の格差是正、労働移動の円滑化と人材の最適配置の実現が重要であるとされた。また、AI導入を契機とした既存業務の見直しや新たな仕事の創出の必要性についても説明がなされた。

(政策学部教授 川上 敏和)

20260518石橋氏       (140122)