政策学会講演会特集
政策学会講演会(レポート)
『くらしの礎を「創る」「担う」「つなぐ」~SDGsに貢献するエンジニアリング産業~』
テーマ | 『くらしの礎を「創る」「担う」「つなぐ」~SDGsに貢献するエンジニアリング産業~』 |
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講師 | 白井 利昌 氏 |
日時 | 2024年11月12日(火)16:40~18:10 |
会場 | Z31 |
去る11月12日,政策学会講演会にJFEエンジニアリング株式会社環境本部エンジニアリングセンター長の白井利昌氏をお迎えし,「くらしの礎を「創る」「担う」「つなぐ」~SDGsに貢献するエンジニアリング産業~」という演題の下でご講演いただいた。白井氏は,京都大学大学院工学研究科化学工学専攻を修了された後,三菱重工株式会社や現在勤務されておられるJFEエンジニアリング株式会社にて国内外の廃棄物処理や上下水処理施設の設計や開発などに携わってこられた。今回は,エンジニアとしての長年のご経験を踏まえ,持続可能な開発目標(SDGs)達成におけるエンジニアリング産業の役割・貢献などについてお話しいただいた。
ご講演では,まず地球温暖化や廃棄物・水などに関する諸問題,交通・物流インフラの不足や老朽化問題など,世界が直面している様々な社会課題が,近年,深刻化,複雑化している現状をご説明された。例えば,人口増加や経済発展に伴う廃棄物量の増加に起因して,インドやフィリピンなどといった途上国では埋立てによる環境問題が顕在化していることに加え,先進諸国を中心に世界各国では廃棄物の有効利用や再資源化が課題になっていることをご指摘された。
ご講演の後半では,エンジニアリング産業が複合的な技術力を駆使してこれらの社会課題の解決に如何に貢献しているのかを丁寧にご説明された。豊橋市のバイオマス資源利活用施設の事例では,下水汚泥やし尿,生ごみを集約してメタン発酵処理することで処理コストを大幅に抑えながら温室効果ガスを削減するのみならず,発生するメタンガスを発電に活用したり,メタン発酵後の汚泥を炭化燃料にすることで,全ての廃棄物のエネルギーへの転換が実現されていることをご説明された。
最後に,社会課題の解決に繋がるプラント・インフラ建設を通じて,エンジニアリング産業が環境と調和した持続可能な社会の発展に向けて貢献していることを改めて強調され,ご講演を締めくくられた。今回のご講演では,専門的な技術的側面についてもわかりやすくご説明いただいたほか,参加者からは数多くの質問が出されたが,白井氏は一つひとつの質問に対し丁寧にご回答くださり,大変有意義な講演会となった。
(政策学部教授 新見陽子)