教員紹介
にいみ ようこ
新見 陽子 教授
研究分野(学部) | 国際開発・国際協力・ジェンダー |
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研究テーマ(大学院) | 国際開発・国際協力・ジェンダー・高齢化問題 |
研究室 | 渓水館232号室 |
メールアドレス | yniimi@mail.doshisha.ac.jp |
研究の関心(研究内容を含む)
私の専門は経済学、特に開発経済学と家計経済学です。経済学において、「家計」は「企業」や「政府」と並ぶ経済主体の一つです。具体的に言うと、「家計」は就労して賃金を得たり、消費者として物を買うなど、日常生活において様々な経済活動を行っています。そのため、家計の行動を正確に理解することは、様々な経済・社会問題に対して適切な解決策を見出すための鍵にもなります。私の場合は、この「家計」に着目し、家計のウェルビーイング(wellbeing)や行動に関する実証分析を行っています。最近は、特に格差問題に焦点を当てて、資産・教育格差がどの程度世代を超えて引き継がれているのか、また格差やその継承の主たる原因は何なのかを解明すべく研究を続けています。加えて、これまで貧困や格差問題について考える際には、世帯内では資源が均等に配分されているという前提のもとで分析が行われる傾向にありましたが、実際は女性や子ども、高齢者などが不利な状況に置かれていることも少なくありません。したがって、貧困や格差問題を解決するには、世帯内の状況にも目を向ける必要があります。この点に関連して、資産格差について分析するにあたり、視点を世帯レベルから個人レベルへと移し、これまで看過されがちであった資産形成におけるジェンダー格差についても研究を行っています。
プロフィール
広島県生まれ。家族の理解やサポートのもと、「海外で勉強してみたい」という漠然とした夢を実現すべく、中学校卒業後、単身で英国に留学しました。留学当初は、語学の壁以上に、思考能力や論文を書く力を求められることに戸惑いを感じていましたが、今となっては良いトレーニングになったと思います。スコットランドにあるエディンバラ大学で経営学を専攻し、歴史・文化溢れるエディンバラという街で、しっかり学び、しっかり遊び、充実した学生生活を送ることができました。大学院への進学は特に考えてはいませんでしたが、大学の授業を通して国際開発に関心を抱くようになり、もう少し勉強したいという思いから、まずは神戸大学大学院国際協力研究科で開発経済学を学びました。その後、より専門性を高めるため、再び英国に渡り、サセックス大学で経済学の博士号を取得しました。その甲斐あってか、世界銀行やアジア開発銀行といった国際機関に勤務することができました。アジア開発銀行では、幸せな国として知られるブータンを担当し、大国に挟まれた小さな内陸国が直面する課題などについて考えさせられる貴重な機会に恵まれました。ただ、大学院時代に味わった研究の面白さを忘れることができず、2014年に帰国し、福岡県北九州市にあるアジア成長研究所で研究職に従事した後、2019年4月より同志社大学に着任しました。
講義・演習・少人数クラスについて
【学部科目】
学部では、「開発政策」と「国際協力政策」という講義科目を担当しています。「開発政策」では、開発途上国が抱える課題について理解を深めていきます。これに対し、「国際協力政策」では、開発途上国の課題や気候変動などといった地球規模の課題解決にむけた国際協力の在り方などについて考察します。「演習」では、国際開発・国際協力・多文化共生などをテーマに、開発途上国が直面する問題を理解しその支援策を考案する上で必要となる、現地に赴く「行動力」、現地の人々の声を「聞く力」、また自分たちの常識を押し付けることなく「異なる文化や習慣、価値観を理解する力」などを、ゼミの仲間と切磋琢磨しながら培っていきます。
【大学院科目】
大学院では、「国際開発論研究」という講義科目を担当しています。この科目では、国際開発に関する基礎知識や概念、理論などの習得に加え、過去および最近の世界情勢や各国の具体例、またこれまでに行われてきた実証研究の結果などを概観しながら開発途上国が直面する課題について考察します。
受験生へのメッセージ(学部・大学院)
現代社会が直面する課題が多様化する中、問題解決に柔軟かつ的確に取り組むことのできる人材が今一層求められています。また、私が専門とする国際開発の分野においては、開発途上国が抱える問題は複雑で、一筋縄では解決できないものが殆どです。そのため、問題解決にむけては、まずは問題の複雑さをしっかり認識した上で、経済や政治、行政、法律など、様々な視点でどのような解決策が可能なのかを考えることが重要となってきます。政策学部・総合政策科学研究科では、このようなニーズに対応すべく、様々な分野の専門科目が提供されているほか、実践的なスキルを習得することが可能な学びの場となっています。