このページの本文へ移動
ページの先頭です
以下、ナビゲーションになります
以下、本文になります

政策学会講演会特集

政策学会講演会(レポート)
『WTOの今後のゆくえ』

テーマ 『WTOの今後のゆくえ』
講師 箭内彰子氏
日時 2023年7月6日(木)9:00~10:30
会場 Z20

 去る7月9日、政策学会講演会に講師として日本貿易振興機構アジア経済研究所新領域研究センター 法・制度研究グループ長である箭内彰子氏をお迎えし、「WTOの今後のゆくえ」というタイトルでお話いただいた。箭内氏は、アメリカ合衆国・ジョージワシントン大学ロースクール、世界銀行Legal Counsel、ジョージタウン大学国際経済法研究所など多岐に及ぶご経歴から、WTOの現状と今後の課題について詳細なレジュメを用意され、実例を交えながら明快に語られた。
 1995年、国際機関としてスタートしたWTOではあったが、それ以降、苦難の歴史であった。そのため、WTOの機能が著しく低下し、変わって、地域貿易協定が数多く台頭することになったことを説明された。それに加え、近年、持続可能性の実現が叫ばれるようになり、WTOを補完するものとして、プライベート・スタンダードが数多く登場することになったことも説明された。つまり、21世紀に入り、通商ガバナンスのあり方が大きく変化していることを強調された。
 WTOの機能が低下したことは事実であるが、WTOの役割は依然、決して小さくはない。最後に、WTOは現在、機能強化のみならず、様々な方向修正をはかっており、今後の動きに目が離せない事を述べられ、講演は終了した。講演の開始から終わりまで、参加者が非常に熱心に聞き入り、絶え間なくノートを取っている光景が印象的であった。また、講演終了後にも積極的に講師に質問する参加者がいて、活気ある講演会のうちに終了した。

(政策学部教授 岡本 由美子)

箭内彰子氏