政策学会講演会特集
政策学会講演会(レポート)
『宇宙航空研究開発機構の研究活動とその評価』
テーマ | 『宇宙航空研究開発機構の研究活動とその評価』 |
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講師 | 宮崎英治氏、柳瀬恵一氏 |
日時 | 2021年12月6日(月)13:10~14:40 |
会場 | Zoomにて開催 |
このたび、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)の職員である宮崎英治氏と柳瀬恵一氏をゲストスピーカーとしてお迎えし、「宇宙航空研究開発機構の研究活動とその評価」をテーマにご講演いただいた。講演は政策学部設置科目「科学技術政策」の講義の一環として行い、研究開発のマネジメントや評価が実際にどのように行われているのかについて現場の視点からお話しいただいた。
講演の前半では、お二人からJAXAの紹介や組織の生い立ち、研究と社会・政策との接続のあり方、自然科学系における研究の進め方などを中心に説明いただいた。講演の後半では、ディスカッションを通じて、「研究」と「開発」がそれぞれ異なる活動であることについて議論を深めた。2003年に3つの法人を統合して発足したJAXAは、旧宇宙開発事業団の流れをくむことから開発が主たる業務となっている。その一方で、お二人が所属する研究開発部門では、研究成果を創出し、それらを開発・利用へとつなげていくことが重要なミッションとなっている。開発を中心として設計されたマネジメントや評価のあり方が現場の研究活動にどのような影響を及ぼしているのか、どうすれば研究活動についてアカウンタビリティを確保しつつ成果の創出につなげることができるのかなど、司会者の質問に対してお二人から示唆に富むリプライをいただいた。
講演後、受講生からは、講演を通じて現場の様子を知ることができ興味深かったとの感想が数多く寄せられた。コメントでは、研究と開発が本来は別々の活動であることへの理解、「サイエンス・コミュニケーションを超えた、科学技術を理解する人材」を育む必要性への共感、科学技術の存在意義やアカウンタビリティを確保することの困難さについての言及があった。科学技術に対して政策学はどのような貢献ができるのか、受講生には今回の講演会を糸口に考えをさらに深めてもらい、「科学技術政策を理解する人材」として成長していくことを期待したい。
(政策学部教授 山谷清志)