政策最新キーワード『皇室典範改正で終わらない議論 - 女性天皇・女系天皇と皇位継承問題』
皇室典範改正で終わらない議論 - 女性天皇・女系天皇と皇位継承問題
投稿者 大島 佳代子:2026年11月
2026年7月24日皇室典範の一部を改正する法律が公布されました。現在の皇室典範は、日本国憲法と同日に施行(1947年5月3日)された皇室に関わりのある諸事項について定める法律です。今回の改正は、制定後はじめての実質的改正であり、皇族数の確保を目的としています。現在、皇室は16名で構成されており、そのうちの11名が女性(うち未婚者5名)です。このままでは、公務や宮中行事を担う皇族がさらに減少し、天皇を補佐する公務、宮中祭祀、国内外の行事への出席、各種団体の名誉総裁としての活動に支障が生じる可能性があります。
そこで、今回の改正では、①内親王及び女王が、皇族以外の男性と結婚した後も皇族としての身分を保持できる、②1947年に皇籍を離れた旧11宮家の男系男子を、現在の皇族が養子とすることができるようになりました。今回の改正は、衆参あわせて6時間程度の審議時間で成立したこともあり、結婚後皇室に残った女性皇族の配偶者と子どもの身分、養子制度の実効性など、重要な課題が多く残されています。
最近の世論調査では女性天皇容認が80%を超えているとの報道もあります*。仮に愛子内親王の皇位継承が認められれば、男系の女性天皇が誕生します。もっとも、その子が皇位を継承した場合には、皇統は母方を通じて継承されることになるため、男女を問わず歴史上初の女系天皇となります。このように、女性天皇の容認と女系天皇の容認とは、厳密には異なる問題だといえます。
女性天皇・女系天皇に反対する立場は、男系男子の継承が日本の伝統であり、皇位継承とは「男系の血統を純粋に継承することが皇族としての正統性の根拠である」と主張します。これに対し、容認する立場は、「皇位継承における最も重要な伝統とは、皇位が親から子へ、子から孫へと受け継がれていくこと、つまり世襲」であるとし、皇位継承を男系男子に限ることは、世襲制を危うくする選択だと主張しています**。
日本国憲法は、天皇の地位が「主権の存する日本国民の総意に基く」(1条)ことを定めています。皇位継承制度は、その天皇の地位を将来にわたって承継するための制度です。したがって、女性天皇・女系天皇の容認の是非を含む皇位継承問題は、主権者たる国民一人ひとりが、象徴天皇制のあり方と将来像を見据えながら検討すべき重要な課題であるといえるでしょう。
* 女性天皇容認に賛成81%(共同通信) https://news.yahoo.co.jp/articles/a38a11c0cc4a3d41dfb80971f3e02a83cfecc828
** 耕論 「『男系男子』とは何か」(朝日新聞2026年6月11日朝刊)