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政策最新キーワード『新NISAで「貯蓄から投資へ」が実現するか』

新NISAで「貯蓄から投資へ」が実現するか

2025野間先生 (110087)

投稿者 野間 敏克:2026年3月


 もう何十年も前から、日本の金融市場の課題は「貯蓄から投資へ」でした。日本では、銀行を通した資金の流れが圧倒的に大きく、証券市場を通じた資金の流れにも銀行が強く関わっていたからです。家計からの預金をもとにした銀行貸出や銀行の株式保有は、どうしても安全第一になりがちです。日本の家計が株式や投資信託をもっと保有すれば、リスクはあるけれど成長可能性の高い企業に資金が流れ、日本経済が成長できると考えられたのです。
 しかしながら期待に反して、家計が選ぶのはやはり預金で、家計資産全体に占める現金預金の比率は、ほぼ50%を超えたままでした。それがようやく近年になって現金預金比率の低下が続き、2025年9月末の値ではついに49.1%まで下がりました。預金以外の資産保有が増えたことを意味し、その大きな理由が新NISAです。
 NISAとは、イギリスのISA(Individual Savings Account:個人貯蓄口座)をモデルに、2014年に作られた日本版の少額投資非課税制度です。証券会社や銀行などにNISA口座を作り、その口座を使って株式や投資信託などの金融商品に投資すると、得られた利益が非課税になります。この制度が、岸田内閣のもと大幅に拡充されました。非課税対象になる年間投資の上限金額が引き上げられ、20年だった非課税期間が無期限に延長されるなど、格段に利用しやすくなったのです。それが2024年から始まった新NISAです。
 この影響が極端に表れたのが投資信託です。図には日本で主流の公募投資信託の純資産総額の推移が示されています。岸田内閣が拡充方針を発表した2023年には旧制度のもとで投資信託購入が増加しました。そして新制度が始まった2024年には急増していることがわかります。年後半には横ばいになりますが、2025年にまた勢いが強まっています。

202603 政策最新キーワード (野間先生)    (123721)

 よく買われている投資信託の内容、つまりどのような株式や債券に投資する商品が人気か調べてみると、いくつか特徴的なことが分かっています。1つは、国内ではなく海外の株式を投資対象にするものが多い、もう1つは、個別企業や特定産業ではなく、世界の市場全体の動向と連動する「インデックス・ファンド」と呼ばれるものが多いという点です。家計が調べ選別した産業や企業に資金が流れるわけではなく、日本企業に流れるわけでもない、そんな投資信託が多いのです。
 「貯蓄から投資へ」は進み始めたようです。しかし、それが日本企業や日本経済の成長につながるためには、国内企業のがんばりはもちろんですが、家計が良い企業や良い投資信託を選別する目が求められます。家計の金融リテラシーを向上させるための金融経済教育の必要性が高まっており、金融庁は、様々な主体が行ってきた金融経済教育をまとめる形で、2024年に「金融経済教育推進機構」 1 を設立しました。筆者自身も、2006年から「経済教育ネットワーク」 2という団体で、中学や高校の先生と協力しながら経済教育にたずさわっています。


1https://www.j-flec.go.jp/

2https://econ-edu.net/