教員紹介

うちだ しんすけ
内田 真輔 教授
| 研究分野(学部) | 環境経済学、 実証ミクロ経済学 |
|---|---|
| 研究テーマ(大学院) | 気候変動、自然災害、エネルギー |
| 研究室 | 渓水館234号室 |
研究の関心(研究内容を含む)
私の専門は実証ミクロ経済学/環境経済学です。環境経済学は、現代社会における環境問題の本質を経済学的に解明し、その解決に向けた政策立案に資する学問分野です。これまで
の研究テーマは、気候変動の影響と適応策、自然災害の経済的影響、農業と環境保全、天然資源利用と経済成長など多岐にわたります。これらのテーマについて、計量経済学を駆使した実証研究を展開し、エビデンスに基づく効果的な政策提言につなげることを目指しています。
私の研究アプローチの特徴は、人々の行動メカニズムおよび経済主体の異質性に着目する点にあります。政策の効果は受け手によって異なります。その違いを可視化することで、より効果的で公平な政策設計に貢献することが私の研究目標です。近年の主要な研究テーマの一つとして、気候変動への「適応格差」問題に取り組んでいます。猛暑や豪雨といった異常気象の増加に対し、人々は様々な適応行動をとりますが、その能力には大きな格差があります。所得制約、リスク認知の違い、既存制度の機能不全など、適応を阻む要因を経済学的に分析し、社会的に脆弱な立場にある人たちを取り残さない政策の在り方を探っています。たとえば、農家の高齢化が気候変動への適応能力を低下させている問題や、エネルギー価格の上昇がエアコン利用を抑制し健康リスクを高めている実態を、ミクロデータを用いて実証的に明らかにしてきました。
プロフィール
地方出身のサガなのか、10代の頃から都会や海外に憧れがあり、将来は国際機関で働きたいという夢をぼんやりと持っていました。大学で上京し、卒業後にイギリスとアメリカへ留学しました。アメリカでは世界銀行開発経済調査局にコンサルタントとして参画し、アメリカ農務省経済研究所のエコノミストとして農業・環境政策分析に従事しました。それ以来、環境問題を経済学的に分析する「環境経済学」を中心とした教育研究活動に携わっています。
環境経済学の研究者を志したきっかけは、学部生時代のケニア旅行での経験です。当時の私は野生動物の保護活動に熱心で、ゾウやサイなどが密猟に苦しめられる現場を見るために単身ケニアへ乗り込みました。しかし、そこで目の当たりにしたのは動物以上に貧困に苦しめられる人間の姿でした。「生きることに精一杯で、動物の保護どころではない。野生動物を含めた環境保護を実践するには、豊かな生活があってこそだ」と痛感しました。「経済発展と環境保護を両立するにはどうすればよいか」という命題を探究する環境経済学を勉強したいと思い、最先端の知識を求めて留学を決意しました。留学先では理論・実証分析のスキルを叩き込まれるとともに、多様なバックグラウンドを持つ留学生や研究者と交流することができました。さまざまな文化や価値観に触れ、視野が広がったことは、研究者として人として貴重な財産となっています。座右の銘は「七転八起」「人間万事塞翁が馬」。今までの人生、山あり谷ありで、失敗も数えきれないほどしてきましたが、恩師、先輩後輩、友人、家族らの支えのおかげで、今も歩み続けることができています。
講義・演習・少人数クラスについて
【学部科目】
講義は、「環境政策」と「環境マネジメント」を担当します。地球温暖化、エネルギー問題、廃棄物・汚染問題など、現実の環境問題や環境政策の事例を通して環境問題の現状と本質を理解し、その解決策を考えるための経済学的な基礎知識を学びます。
演習では、経済統計データの分析をメインに行います。関心のある研究テーマを主体的に探し、問題解決に向けた政策提言につながる分析を行い、卒業論文の執筆を目指します。
【大学院科目】
環境経済学に関する科目を担当します。学部レベルの基礎理論を前提とした、より専門的な理論モデルと実証分析手法を学びます。特に、気候変動や自然災害が経済活動に与える影響の定量評価や、影響緩和に向けた適応行動の分析などを取り上げ、国際学術誌に掲載された最新研究を題材に議論を深めます。
受験生へのメッセージ(学部・大学院)
【学部生向け】
受験勉強は、大きな成果を求められる大変なミッションだと思います。「なんのために勉強しているのだろう」と思い悩むこともあるかもしれません。しかし、受験勉強で身につけた「学びのスキル」——苦手分野の克服法、暗記のコツ、継続力、緊張感との付き合い方など——は、大学でも社会に出てからも役立ちます。大学での学びは、答えのある問題を解く勉強から、答えのない問題に挑む研究へと変わります。自分で問いを立て、じっくりと時間をかけて探究する主体的な学びには、受験勉強を含めた学びの土台が必要となります。
政策学部では、環境問題から国際関係、地域創生に至る様々な社会課題に対して、経済学、政治学、法学といった多様な視点からアプローチすることができます。学んだ知識を実践するフィールドワークの機会も豊富にあります。受験勉強を乗り越えた先に、新たなステージがみなさんを待っています。頑張ってください。
【大学院生向け】
大学院は、特定のテーマについて深く専門的に学び、研究する場です。研究活動は、未知の問題に挑み続ける知的な闘いです。思うような成果が出ない時期もありますが、政策提言につながる重要な発見を得られた時の喜びは何物にも代えがたいものです。社会で起きている現象に対して「なぜ?」という問いを抱き、それを解明したいという知的好奇心を持って、粘り強く課題に取り組める方の挑戦をお待ちしています。