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政策学会講演会特集

政策学会講演会(レポート)
『小さな町から始まる持続可能な暮らしと地域づくり』

テーマ 『小さな町から始まる持続可能な暮らしと地域づくり』
講師 松本 卓也氏 
日時 20201年1月14日(木)10:45~12:15
会場 Zoomにて開催

 去る1月14日、政策学会講演会に松本卓也氏をお迎えし、「小さな町から始まる持続可能な暮らしと地域づくり」というタイトルでお話いただいた。上勝町は徳島県の真ん中あたり、総面積のうち約85%は森林で、人口は約1500人、高齢化率約50%という過疎と高齢化が同時進行している四国一小さな町である。日本初のゼロ・ウェイスト宣言自治体であり、ごみをどう処理するかではなく、ごみを出さない社会を目指している。
 まず、前半に地域づくりにおける持続可能性とは何か、というお話が合った。どのように仕事を創り、またどのように環境を守るかの両立をはかる試みは魅力的であった。地方活性化を図るにおいては、財源不足、資源不足の問題に直面することが多いが、「上勝町の宝を探し、魅力を届ける」ことをその使命として、実際に人気カフェ「polestar」を営むに至っている松本さんのご経験は、学生たちに説得力を持って伝わった。カフェはまさに「上勝町らしさ、その魅力」を集約したショールームであり、学生たちは映し出されるメニューや商品、屋内の雰囲気などに魅了されていた。
 また、後半では、ごみの発生抑制に向けた取り組みの一つとして近年、自治体とNPO法人ゼロ・ウェイストアカデミーが連携して進める「ゼロ・ウェイスト」の実践についてご紹介いただいた。リサイクルによるごみ問題への対応が限界を迎えるなか、くるくるショップ、くるくる工房、そして、ゼロ・ウェイストに取組む飲食店を独自の基準で審査を行い、公的に認証することにより、その取組みを奨励することを目的として設立されたゼロ・ウェイスト認証制度、その他にちりつもキャンペーンやノーレジ袋キャンペーンまで多様な取組が上勝町の中で展開されていることを学んだ。認証店のひとつである「polestar」では、仕入れ時に容器包装を削減し、使い捨てのナプキン等を出さず、マイバッグやマイボトル運動の奨励し、量り売りを店内で積極的に行うなどしている。具体例を交えたお話は、私たち普段の生活にも置き換えられるところが多く、少し意識することで、自分たちでもできることがあるのではないかと、学生達にごみを出さない暮らしを考える動機付けを与えるものであった。 
 政策学部の卒業生でもある松本氏による持続可能な暮らしを考え、地域づくりに尽力される熱のこもったご講演に、参加者は非常に熱心に聞き入った。

(政策学部准教授 小谷 真理)

『小さな町から始まる持続可能な暮らしと地域づくり』