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政策学会講演会特集

政策学会講演会(レポート)
『ユニクロが進出して起きた3つの良いこと:フィリピンとバングラデシュの事例』

テーマ 『ユニクロが進出して起きた3つの良いこと:フィリピンとバングラデシュの事例』
講師 久保田 勝美 氏
日時 2020年10月26日(月) 9:00~10:30
会場 Zoomにて開催

 去る10月26日,政策学会講演会に株式会社ジンズ社長室シニアディレクターの久保田勝美氏をお迎えし,「ユニクロが進出して起きた3つの良いこと: フィリピンとバングラデシュの事例」というタイトルでご講演いただいた。久保田氏は,これまでに30年以上の海外ビジネス歴を持ち,中南米,北米,アジア,ロシアなど世界各国で拠点を立上げ,ビジネスを展開されてきた。今回は,Fast Retailing Philippines社の最高執行責任者(COO)としてユニクロのフィリピン進出を手掛けられたご経験を中心に,海外直接投資が途上国の社会経済に及ぼす影響についてお話しいただいた。

 ご講演では,生産部門のバングラデシュへの進出および販売部門のフィリピンへの進出に焦点を当てられ,ユニクロの進出がそれぞれの国において,ふつうの人たちがより良く働ける機会の創出に貢献していることをご説明された。特に,バングラデシュにおいては,取引先工場の労働環境のモニタリングを徹底することで,ユニクロが現地の労働環境の改善に努めていることを力説された。失業率が比較的高いフィリピンにおいては,現地での若者の雇用機会の創出のみならず,経験を積んだフィリピン人スタッフが世界で活躍できる道筋を拓いていることもご指摘された。加えて,ユニクロがこれらの国々で取り組んでいる数々のCSR(企業の社会的責任)活動についてもご紹介いただいた。

 久保田氏は,海外でビジネスを展開するにあたり,価値観の違いなどに丁寧に対応し,現地の人々に寄り添う大切さを強調されたほか,営利目的のみならず現地の人々の暮らしの質の向上をも念頭に海外に進出している企業が少なくないこともご指摘され,講演を締めくくられた。講演会には国際協力政策を受講していない学生も数多く参加し,参加者からは時間内に対応しきれない数の質問をいただいた。講演内に対応できなかった質問に対しても久保田氏は講演終了後に丁寧にご回答くださり,大変有意義な講演会となった。

(政策学部教授 新見 陽子)

政策学会講演会レポート『ユニクロが進出して起きた3つの良いこと: フィリピンとバングラデシュの事例』