政策学会講演会特集
政策学会講演会(レポート)
『地方都市の交通を考える(ローカル線再生・交通まちづくり)』
テーマ | 『地方都市の交通を考える(ローカル線再生・交通まちづくり)』 |
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講師 | 村尾 俊道 氏 |
日時 | 2024年12月10日(火)18:25~19:55 |
会場 | R210 |
去る12月10日、政策学会講演会に講師として特定非営利活動法人持続可能なまちと交通をめざす再生塾 理事長である村尾俊道氏をお迎えし、「地方都市の交通を考える(ローカル線再生・交通まちづくり)」というタイトルでご講演いただいた。村尾氏は、京都府庁にて交通まちづくりに関わる政策立案・遂行に長年携わってこられたご経歴があり、本学の総合政策科学研究科2期生として学位を取得されたご経験などにも触れられながら、交通まちづくりの現状や、公共交通政策の難しさと重要性についてお話しいただいた。
まず、年代ごとの社会背景とご自身が関わってこられた交通・まちづくりの議論についてご紹介いただいた。1990年代の地方都市におけるクルマ社会の背景・郊外化の進展と、それに伴う渋滞への対策に始まり、2000年代における環境に配慮した車社会(CO2排出削減)の実現、さらに、地方部における公共交通の維持や新たな魅力の創出など多岐にわたる内容であった。
特に地方都市において公共交通の利用を軸とするまちづくりが難しい原因として、自動車の普及と共に市街地エリアが拡散したことを挙げられていた。商業機能が市街地縁辺部に立地するようになったことで都心の人口密度が低下し、公共交通の特性を活かせない都市構造となっているため、鉄道や路線バスといった従来の公共交通で対応するには限界があることや、ITを駆使したオンデマンドサービスなど新たなモビリティによって様々な「公共交通のリ・デザイン」が進められている現状について詳しく解説していただいた。
平日夜の時間帯であったにもかかわらず、大学院生だけでなく学部1年生から社会人や他学部生まで幅広い方々にご参加いただいた。質疑応答においては、鋭い質問が飛び交うなど活発な議論となり、盛会のうちに終えることができた。
(政策学部准教授 安達晃史)