教員紹介
よしだ とおる
吉田 徹 教授
研究分野(学部) | 政治学(比較政治学、ヨーロッパ政治) |
---|---|
研究テーマ(大学院) | 比較政治学・政治社会学 |
研究室 | 渓水館208号室 |
個人ホームページ | |
メールアドレス | tyoshida@mail.doshisha.ac.jp |
研究の関心(研究内容を含む)
専門は比較政治学、なかでも政党政治論やリーダーシップ論を中心に、西欧諸国、特に現代フランスの国内政治史に焦点を当てて研究をしています。もっとも、これを過不足なく理解・分析するためには、民主主義論、政治経済学、歴史学、社会学などの対象や方法論を含めなければならないため、隣接分野の社会科学の学習も欠かせません。また、現代欧州の政治経済を規定している欧州統合・EUについての知識も不可欠になっており、こうした国内政治と統合プロセスの相互作用についても研究を進めています。
「ひとつのことについてあらゆることを、あらゆることについてなにがしかのことを知っていること」(丸山眞男)とは政治学という学問が持つ特徴のひとつですが、「政治」を理解するためには「政治的なもの」についての関心や好奇心を持つ必要があります。そのため、研究対象のみならず、それを政治学の対象たらしめている情況にも目配りをしなければなりません。
また、政治学は「未知のもの、生起しつつあるもの」(マンハイム)についての学問でもあります。そのため、現在起きている有形・無形の政治的現象を、過去の学問的営みから補助線を引いて、いかに理解するのかも大事な作業となります。古代ギリシャに始まる政治学という学問が常に共同体とともにあったことに鑑みれば、現在の政治・政治的なものについて、批判的(客観的)意識を持って論評することも大事なことだと考えています。
プロフィール
1975年に東京都で生まれましたが、生後すぐに引っ越し人生が始まりました。義務教育は海外で受け、高校(都立国際高校)と大学(慶應義塾大学)は再び関東圏でしたが、その後、フランス、東京、アメリカ、札幌などと移住を繰り返す人生となりました。大学卒業後に独立行政法人(JETRO)で3年間、海外勤務を含むいわゆる「社会人」を経験した後、大学院修士課程(東京大学総合文化研究科)に進学、2008年に博士号(同左)を取得しました。2021年度までは北海道大学法学研究科で教鞭をとっていました。
生来の「根無し草」の経験を活かそうと、研究・教育以外にも、これまで民間の「シノドス国際社会動向研究所」、「言論NPO」、「子ども食堂KaoKao」、その他労働組合の研究所やコミュニティ・ラジオなどでも活動し、ジャーナリズムとのコラボなども手掛けてきました。
人生もそろそろ折り返し地点、どのようにこれから世間に恩返しをしていくべきか、思案している所です。
講義・演習・少人数クラスについて
【学部科目】
政治学は、初期の段階で「深く・狭く」身に着けないと、応用できるような学問になりません。そのため学部科目では、まず「政治学的な思考法」と「分析手法」、さらに「政治学が重視してきた現象」に慣れ親しんでもらうことを目標に据えています。
【大学院科目】
学問、とりわけその方法論や分析枠組みは、時代とともに進化します。従って大学院科目では政治学・比較政治学における最新のトピックや研究動向を知ることを目標に、オーソドックスな輪読のゼミナール形式でもって進めます。
受験生へのメッセージ(学部・大学院)
私が尊敬するある政治学者は「良い比較政治学者(comparative political scientist)になるためには、自分に対しても相対的(comparative)にならないといけない」と書いています。すなわち、自分という存在と、その存在を成り立たせている環境や意識がどこから来て、どのように作用しているのかを知るためには、様々な形で「旅」を続けることが大切です。異国に出かけること、自分とは違う人たちと飲み食いすること、昔に書かれた本を読むこと、違う世界についての映画を観ること――そうした様々な「旅」を経験することで、私たちは自分を相対化でき、「イマ・ココ」だけが必ずしも特権的な立場にあるわけではないことを知ることができます。そのことを体験できて、私たちははじめて、自分に対しても、他人や環境に対しても「自由」になることができます。そうして手に入れることのできた「自由」とそこから派生する「責任」を、人生を切り拓くための「力」へと転換することを手伝うのも、大学教員の使命のひとつだと確信しています。