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教員紹介

2025中原先生 (110081)

なかはら あきら

中原 慧 助教

研究分野(学部) 教育社会学・移民研究・格差問題
研究室 新創館202号室

研究の関心(研究内容を含む)

 現在の研究上の関心は、日本に居住する移民的背景のある子どもの教育に関して、特に「日本人」の子どもとの間の格差について、定量的なデータを基にした計量的な分析を通じ、その背景にある構造やメカニズムを明らかにすることです。
 これまでも、教育社会学やその他の領域で、家庭の社会経済的な地位に関連した子どもの間の学力格差や進路の格差などが分析されてきました。一方で、日本においては、移民的背景のある子どもに関する知見の蓄積が相対的に少ないという課題があります。
 今後も移民的背景のある人々が日本社会の中で増加していくと考えられており、日本の学校教育制度の中で移民的背景のある子どもがどのような経験をしているのか、どの程度の学力を獲得できているのかなどを明らかにすることが必要です。
 それらの点を分析する一つの手段として、定量的なデータを利用し、計量的に分析する方法があります。計量的な分析では、移民的背景のある子どもと「日本人」の子どもの間で学力にどの程度の差異があるのか、進学における差異はどの程度あるのかなどを定量的に明らかにできます。また、計量的に分析することは、家庭の経済状況などを同一の条件と仮定した場合の、移民的背景の効果を推定することもできます。
 こうした特徴を持つ研究手法を使用し、移民的背景のある子どもと「日本人」の子どもの間の経験や学力などの差異について、その背景にある構造やメカニズムを明らかにすることを目指しています。現在は、社会的再生産に関する理論を参照しながら、分析結果を解釈することを試みています。

プロフィール

 大阪府生まれ。現在に至るまで関西で過ごしてきました。学部の学生の時には、中国でのトイレ市場のフィールドワークを基に日本企業の進出可能性を検討することを、1年間ゼミ形式で取り組みました。また、市役所などに女性活躍への取り組みに関するヒアリング調査を実施するなどしていました。
 現在は、日本における移民的背景のある子どもの教育について、定量的なデータを用いた分析を中心に研究を行っています。私自身は、大学院生時代の日本語教室でのボランティア活動をきっかけに、日本における移民的背景のある子どもの教育に様々な課題があることを知り、現在の研究を始めました。こうした諸課題は、政策や地域社会のあり方など、様々な点で社会と関連しながら形成されているものです。したがって、「どのように社会と関連しているのか」という視点から考えることが、課題解決へ取り組むためには非常に重要となります。そうした視点を土台に、様々な課題に取り組んでいければと思います。

講義・演習・少人数クラスについて

学部での講義科目

 講義では、定量的なデータを用いた分析の方法を扱います。定量的なデータを用いた分析は、政策に限らず、様々な場面で用いられるようになっています。定量的なデータの分析の手法は非常に多くあり、それらの手法は、データの特徴ごとに使い分けることが必要です。講義の中では、どのようなデータに対して、どのような手法を用いることができるのかなどを説明します。
 加えて、データを分析した後には、その分析結果を「解釈」することになります。つまり、分析の結果から、いかにして社会的な意義を持った結論を導き出すのかも重要な過程となっています。講義では、そうした分析の実行から解釈に至るまでの過程についても扱います。
 また、定量的なデータの分析には、Excelなどのソフトウェアを利用します。講義の中では、ステップを少しずつ乗り越える形で、自身で分析が実行できるようになることを目指します。
 さらに、講義には適宜ゲストスピーカーとして、様々な現場で活躍されている方をお招きし、現場での経験をお話していただく予定です。定量的なデータの分析の結果の解釈は現場に即していることが大切です。そのため、現場での経験を聞く機会は、社会に関する調査や分析をする上では、極めて重要なものとなります。そうした機会をなるべく多く設けられるようにします。

大学院科目

 定量的なデータを分析の対象とする定量分析には、様々な統計ソフトを利用することができます。私の講義では、フリーのソフトウェアであるRおよびRStudioを用いて、実際にデータの分析を行いながら、定量分析の手法の獲得を目指します。また、定量的なデータの分析には様々な手法を用いることができます。しかし、手法が豊富にあるということは、データの特徴に応じて使い分けることが必要となるという意味でもあります。講義では、データの特徴に応じた分析手法の選択についても理解が深まるようにします。
 加えて、分析結果は、論文や学会報告、レポートなど、読み手に伝わるように表現することが求められます。学会や研究分野ごとにどのように結果を示すのかは異なるものの、分析結果の示し方には一定の型があります。そうした、分析とその結果の見せ方、解釈という、一つの研究における流れも理解し、実行できる能力の獲得を目指します。

受験生へのメッセージ(学部・大学院)

 政策は、私たちの日常生活や様々な人生の局面に関連しており、その関連の仕方も実に様々です。例えば、子どもの教育について考えてみても、子ども自身のことはもちろんのこと、その周囲の親や学校の先生、地域社会など、様々な側面に着目しながら理解していく必要があります。したがって、「政策を学ぶ」ということは、様々な視点から私たちの暮らす社会を見つめ、どのように社会が成り立っているのかを多角的に把握していくことだと言えます。様々な角度から社会を把握する試みは、これまでの自身の視点や認識を相対化し、大きく変えるものとなります。そして、政策学部には非常に幅広い専門分野の教員の先生方が在籍しています。そのため、様々な専門分野の知見を獲得しながら、自身の関心に応じて、より探求を深めることが出来る環境にあります。こうした貴重な環境の中で、自身の可能性を大きく飛躍させてほしいと思います。