教員紹介
むさし かつひろ
武藏 勝宏 教授
研究分野(学部) | 議会の立法過程・制度、直接民主制の実証分析 |
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研究テーマ(大学院) | 立法過程、議会研究、直接民主制、文民統制 |
研究室 | 渓水館220号室 |
メールアドレス | ktani@mail.doshisha.ac.jp |
研究の関心(研究内容を含む)
立法を実践するためには、まず、立法をめぐる政策過程全般を視野におく必要があり、問題の設定、政策案の立案、政治過程、執行過程、評価過程を経て、立法が形成されます。こうした広義の立法過程の中で、政策案の立案と政治過程に焦点を当て、憲法との関係、法制度の設計、立法の政治過程とその制度的装置、市民の参加と監視などの問題を研究しています。
具体的な研究内容としては、議院内閣制諸国における議会の立法過程とその制度、運用の実証分析、半直接民主制における立法過程の動態と日本への示唆についての研究になります。前者では、イギリス、フランス、ドイツなどの議院内閣制諸国における政府提出法案および議員立法の立案、議会への提出、議会での議事運営、委員会制度、二院制、会派による党議拘束などの制度と運用を実証的に分析し、議会制度、立法過程の理論的検討と制度改革についての日本との比較研究や、望ましい制度、運用の在り方についての提案を行っています。後者については、立法過程の事前に国民が参加する制度としてのイニシアティブ(国民発案)や、事後的な統制としてのレファレンダム(国民投票)の制度と機能をスイス、イタリア、アメリカなどとの比較研究として行っています。
プロフィール
60代のベテラン教員です。2004年に同志社大学に着任しました。当初は、総合政策科学研究科に所属していましたが、2010年の政策学部との統合に伴い、私自身も2010年に政策学部に移籍し、現在、学部教授と研究科教授を兼任しています。学部生の時は国際私法、大学院修士・博士課程では、法政策を専攻し、神戸大学より博士(法学)、大阪大学より博士(国際公共政策)を取得しました。2000年と2015-16年にイギリスのロンドン大学で在外研究をしました。専門は立法過程論、議会制度論、政軍関係論ですが、これまでの過去30年余りの教歴では、主に法学政治学系の科目を担当してきました。主要著書は、『現代日本の立法過程・一党優位制議会の実証研究』(信山社・1995年)、『議員立法の実証研究』(信山社、2003年)、『冷戦後日本のシビリアン・コントロールの研究』(成文堂、2009年)、『議会制度とその運用に関する比較研究』(晃洋書房、2021年)などです。趣味は散歩と食べ歩きですが、下戸でもあるため、もっぱら和食を嗜好しています。
講義・演習・少人数クラスについて
【学部科目】
立法過程論(2025年度新設予定科目 ※2年次以降履修可能)
法律の制定過程について、内閣や政党・議員による法案の立案過程、国会における審議・決定過程、委任立法や実施過程に対する議会の統制などの観点から分析した講義を行います。
政策法務
経済、開発、環境等社会に内在する諸問題を解決するためには①紛争を抱える人々がどのような利害を互いに有しているかを理解し、②その解決のために社会に存在する資源や負財をどのように配分するかを決定し、③この配分を法の形式を使って表現する必要があり、本講義ではこうした紛争化する社会の法的解決策を学びます。
【大学院科目】
立法政策過程論研究
立法をめぐる法制度やその運用などの立法過程を中心に、比較法・比較政治的な考察を通して、立法政策過程論の理論と実証について学習します。
受験生へのメッセージ(学部・大学院)
大学で政策学の教育研究が普及してきたのは1990年代以降といわれます。その発端は、冷戦構造の崩壊や、急速な少子高齢化、グローバル化に伴う経済・財政システムの硬直化など、内外の政策課題に日本が直面し、その問題解決のための「政策学」の構築と人材育成が急がれたことにあると思われます。従来、政策は、官僚制を中心に政府の公務員が企画立案するものとの認識がありましたが、今日では、政策の企画立案段階から、民間のシンクタンクや大学の専門家が関与する機会は格段に増えています。もちろん、政策の議題設定は、本来、政治家の役割ですが、政治主導の名のもとに、政官関係も大きく変容しています。こうした現代の転換期において、政策学が公共政策や国際関係、企業の経営管理において果たす役割は無限大の可能性があるといっても過言ではないでしょう。もとより、政策の企画立案やその執行、適正な管理・評価のためには、「政策学」の基礎となる政治学・法律学・経済学・組織論の四分野の修得が欠かせません。政策学のスペシャリストとして、皆さんには、複数の学問分野に是非トライしてほしいと思います。