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教員紹介

増渕 あさ子助教

ますぶち あさこ

増渕 あさ子 助教

研究分野(学部) 沖縄占領史、医療史、マイノリティ社会学
研究テーマ(大学院) 米軍統治下沖縄をめぐる援助・救済ネットワークの分析
研究室 臨光館415号室
メールアドレス amasubuc@mail.doshisha.ac.jp

研究の関心(研究内容を含む)

 アジア太平洋戦争後、1972年まで米国の統治下に置かれた沖縄の社会と歴史を専門にしています。研究の根底には、「米国・米軍の占領下に置かれたことが、人びとの生活や生存にどのような影響をもたらし、戦後の沖縄社会を形成していったのか」という問いがあります。1940年代末期、冷戦対立が本格化し、米国がアジア太平洋地域に反共軍事ネットワークを拡大していく中で、沖縄は米軍にとっての重要な戦略的拠点として要塞化されていきます。1952年、サンフランシスコ講和条約により、沖縄は正式に日本から切り離され、米国の施政権下に置かれることになりました。こうして、日本本土とは異なる「戦後」を歩むことになった沖縄の占領の歴史を考えることは、日米の外交史はもちろん、米国の冷戦政策や軍事主義、沖縄と同じく米軍基地ネットワークの拠点となっていったグアムやハワイ、韓国、フィリピンと沖縄との関係を考えることにもつながります。

 このように、グローバルな地政学図に沖縄占領を位置づけて考える一方で、そこに実際に生き、生活をした人びとにとって占領はどのような「経験」だったのかを明らかにすることが、私の研究課題です。具体的には現在、以下のような研究をしています。第一に、米軍統治下に置かれたことで沖縄の人びとの生活や生存にどのような影響がもたらされたのか、医療や福祉の状況などから明らかにすること。第二に、占領期にハワイの沖縄系移民が郷土沖縄復興のために行った様々な救援事業を、第二次大戦後の日米間関係や、冷戦政策、ハワイの移民社会の実相と関連付けながら分析しています。

プロフィール

東京都練馬区出身です。国際基督教大学在学中、授業課題で沖縄について学んだことをきっかけに、現在も米軍基地が集中する沖縄の社会と歴史に興味を持つようになりました。大学卒業後の3年間は、番組制作会社に勤務し、情報番組やドキュメンタリー番組の制作を担当しました。その後、東京外国語大学修士課程に入学。沖縄の近現代経験を東アジアの植民地主義の歴史の文脈に位置づけて考える必要性を知ります。

米軍統治の歴史について、より大きな文脈で研究すべく、2010年から米国に留学。シカゴにあるノースウェスタン大学歴史学部博士課程に入学しました。2013年には、カナダのトロント大学東アジア研究科博士課程に転入し、冷戦研究や記憶の政治学をご専門にされている米山リサ先生のもとで研究を進めました。博士論文は、米軍統治下沖縄での「命」をめぐるポリティクスをテーマに、医療衛生や社会福祉をめぐる政策や言説を分析しました。2019年にPh.D. を取得。同年から、日本学術振興会特別研究員(PD)として同志社大学を拠点に研究活動を行っています。2022年4月より現職。担当科目は「アカデミック・スキル」「政策トピックス」などです。

研究以外では、子どもの頃からずっと舞台が大好きで、中学から大学までずっと演劇活動をしていました。今は観るのが専門ですが、特にOSK日本歌劇団や宝塚歌劇団の大ファンで、最近では歌舞伎も見ています。

講義・演習・少人数クラスについて

【学部科目】

政策トピックス

 沖縄の「基地問題」を議論するための歴史的経緯や、基礎的な知識について学ぶとともに、沖縄の問題をより世界的な分脈で理解するための視座・方法論を身につけます。

アカデミック・スキル 日本語・読解/英語・伝達

 日本語・読解の授業では、「日本の「マイノリティ」問題」(1年次)と「日本の戦後と冷戦世界」(2年次)をテーマに、その歴史的背景について考察し、議論するための基礎文献を講読します。英語・伝達の授業では、映像作品を批判的に読み解きながら、現在の日本や世界を取り巻く様々な問題を分析し、英語で議論やプレゼンテーションを行う視座・方法論を身につけます。

【大学院科目】

英語文献読解

 政治学や政治思想の英文基礎文献を講読しながら、英語文献の読解力を身につけるとともに、英語圏での議論の潮流について学びます。

受験生へのメッセージ(学部・大学院)

【学部生向け】

大学に入ると一気に世界が開けて、色々な人との出会いの場も広がると思います。「大学で何をするか」今の時点で綿密に計画を立てることも、もちろんとても大切ですが、ぜひ色々なことに興味を持って、時には寄り道もして、失敗を恐れずにチャレンジしてみてください。大学時代の豊かな経験は、その後の人生の様々な苦難を乗り越える原動力になるはずです。

【大学院生向け】

大学院は、書物を通して、そして、大学内外の様々な人々との議論を通じて、自分自身のリサーチ・クエスチョンを深めていく場です。ぜひ色々な人に、本に、出会ってください。