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教員紹介

2025伊川先生 (110068)

いがわ もえぎ

伊川 萌黄 助教

研究分野(学部) 環境/エネルギー/貧困問題に関する実証研究
研究室 新創館206号室

研究の関心(研究内容を含む)

 環境/エネルギー/福祉の問題に関連する実証研究をしています。環境経済学という学問分野が最もあてはまる専門分野です。環境経済学は、現代の社会・経済システムの下でいかに環境問題が発生するのか、また、限られた資源制約の下でいかに環境問題を解決できるか、という点をを解明しようとする学問分野です。私の博士課程在学時~直近の興味関心は、気候変動対策としての脱炭素移行過程をより公平なものにするために必要な政策を考えることです。脱炭素のためには再エネ導入に加えてエネルギー消費量の削減が重要になりますが、日本含む世界では、健康維持に必要な最低限のエネルギーサービス(暖房・冷房など)を享受できない人たちがたくさんいます。そういった人たちを置き去りにすることなく、いかにしてエネルギーの利用を効率化し、限られた予算下で無駄なく、環境に負荷のかからない生産・消費形態に移行できるか。そのために、どのような政策が効果的なのか。そもそも、現状エネルギー利用でどれほどの人がどの程度の困った状態に置かれているのか。具体的には何に困っているのか。意外と、分かっていそうで分かっていないことがたくさんあります。そういった事柄を、公的統計やフィールド実験で取得するデータを用いて、統計学的因果推論の手法を通じて調査・研究しています。

プロフィール

東京都郊外の緑豊かな土地で育ち、自然はいつも自分を温かく包んでくれるような存在でした。小さい頃から空想癖があり、ものごとをあれやこれやと考えることが大好きでした(よく授業中に話を聞かずに叱られました笑)。

「社会に存在するマイナスの部分を、ゼロかプラスに変える仕事がしたい」、そう初めて思ったのは17歳のときでした。いわゆる思春期、だったのでしょうか。人生はなんのためにあり、何が自分にとっての幸せなのか。そんなことを高校の通学の帰りに、電車のなかでかばんに頭を突っ伏して半ば半泣きで考えていました。そうして出た答えがこれで、いつか自分は死んでしまうけれど、自分が生きていた世界と、(仮に)生きていなかった世界、前者が後者よりも良くなることが、自分が生かされている意味なのかなと、当時の自分は答えをだしたのでした。さて、時は約その倍経ちましたが、その想いを実現するためにいろんなことに取り組みました。学生時代のフェアトレード活動、大学院での経済学の勉強、民間企業での調査・研究業務、そして博士課程での研究活動。途中でたくさんの寄り道や、もう頑張るのを辞めてしまおうかなの気持ちもあり、今となっては高校生の頃の初心とはちょっと違うモチベーションで働いていますが、なんだかんだといって、やっぱりやることは同じ、ようで、、、。腐らずに、しかし肩肘はらずに頑張りたい今日この頃です。

講義・演習・少人数クラスについて

【学部科目】

アカデミック・スキル2(イシュードリブン)

 2年次生を対象としたアカデミック・スキル2では、「エネルギー貧困」と「公正なエネルギー移行」をテーマにした講義を行います。エネルギー貧困とは、「社会的・文化的に必要なエネルギーを、家計を圧迫せずに使えない状態」のことを意味します。例えば、生活費が足らずに冷暖房を節約せざるを得ない状況が該当します。現在、日本含む各国で再エネ推進のための化石燃料への課税などが進められていますが、こうした環境政策は何らかの補償的な措置とともに取られない場合、エネルギー貧困を悪化させてしまいます。「公正なエネルギー移行」は、こうしたエネルギー貧困層を取り残さずに、いかにして持続可能なエネルギーシステムに移行できるかを検討する視点です。これらの問題は、エネルギーの問題でありながら、社会保障政策や住宅政策など複数の政策領域に関連しています。受講生の皆さんには、こうしたトピックの学習を通じて、学際的な学びを深めていってほしいと思います。 なお講義は英語で行われます。海外のバックグラウンドがない学生は「英語でのスピーキングは難しい」と思ってしまうかもしれませんが、事前のプレゼン準備をしっかり行うことで、徐々に英語力も向上します。英語の文献には日本語では得られないような多くの新しく有益な情報があることも、本講義を通じて体感してもらいたいと思います。

受験生へのメッセージ(学部・大学院)

試験って、本当に辛いですよね。限られた時間で、問題設定者が望むとおりの回答を、なるべく早く・多くこなさなければならない。私は、勉強自体は受験生の頃から好きだったものの、試験はどうにも苦手でした。そんな試験嫌いの皆さん、安心してください。大学での学びは、もっと自由で、可能性に満ち満ちています。一つの問いに対して、数時間はおろか、数日、数ヶ月、場合によっては数年間取り組んだっていい。問いは、誰かから与えられるのではなく、自ら探してきていい。間違った答えをたくさんだしてもいいし、何ならそういった間違いこそが、新たな発見のヒントになったりもする。大学にはその道の専門家がたくさんいるので、適当なことをいうと即座に反論が返ってくる厳しい環境でもありますし(笑)、長く取り組めば取り組むほど、苦悩も増えるかもしれません。しかし、そんな場を通じて知は鍛えられるのでしょう。もちろん、大学以外でも学びの機会は多くあり、学問だけが「知」でもないでしょう。そんなことは頭の片隅におきつつも、いま大学受験を考えている皆さんには、大学での学びの可能性に、大きく胸を膨らませてほしいなと思います。