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教員紹介

藤本 哲史 教授

ふじもと てつし

藤本 哲史 教授

研究分野(学部) ワーク・ファミリー・バランス
研究テーマ(大学院) 仕事と家族、女性労働、組織心理
研究室 新創館205号室

研究の関心(研究内容を含む)

 私の専門は社会学(社会心理学・労働社会学)で、「働く人々の家族生活と仕事の関係」が研究テーマです。

 「ワーク・ファミリー・バランス」という言葉をご存じでしょうか。近年「ワーク・ライフ・バランス」という言葉は頻繁に聞きますが、実は、かなり前に日本でも「ワーク・ファミリー・バランス」という言葉が使われていた時期がありました。正直なところ、私は「ワーク・ファミリー・バランス」の方が重要だと考えています。私にとって「ワーク・ライフ」という言葉がしっくりこないのは、「ワーク・ライフ・バランス」というと、働く本人だけに関心が向けられているように感じるからです。つまり、「その人のワーク」と「その人自身のライフ」をうまくバランスさせて、いかに「その人」を幸せにするか、仕事のパフォーマンスを上げるかに関心が偏っているような気がするのです。そうなると、その人に関わる周りの人々、特に子どもや配偶者などの「重要な他者」の存在が見えにくくなり、その人たちが幸福な生活を送れているのか、という点が置き去りにされてしまうように思えてなりません。本人だけではなく、周りの人々も幸せにならなくてはいけないと思うのですが、どうも「ワーク・ライフ」という言葉からは本人以外の人々の姿がはっきり見えてこないのです。

 私があえて「ワーク・ファミリー」の研究にこだわるのは、家族、特に子どもを幸せにすることは今の日本にとってとても重要な課題だと思うからです。日本の将来を支える子どもたちの育成を「個人の問題」「それぞれの家族の問題」と片付けてしまわず、いま社会としてどのような取り組みが求められているのか、しっかり考える必要があるように思います。

プロフィール

大学を卒業したあと民間企業に勤めましたが、僅か1年半ほどであっけなく脱落しました。その後日本を飛び出してアメリカの大学院で博士号(社会学)を取得しました。若い頃に日本の企業で働いた経験やその時に感じた組織に関するさまざまな疑問が現在の私の研究テーマへとつながっています。同志社大学に赴任する前は名古屋の私立大学で教えていました。ある年、ゼミの学生と海沿いの小さな町に夏合宿に出かけたとき、岬に立つ灯台の周りを飛ぶ海鳥を見たひとりの学生が何気なく言った「鳥人間コンテストに出てみたいなあ…」の一言がきっかけとなりゼミ生一同奮起。苦労に苦労を重ねて学生と一緒にヒコーキを作り、その翌年の大会に出場しました(飛行記録は秘密です)。ライト兄弟初飛行100周年記念と銘打ったプロジェクトでしたが、一生に一度の、大切な、大切な経験になりました。鳥コンは、滋賀県の琵琶湖・松原水泳場で開催されますが、湖岸から約50メートルの位置に、高さ約10メートルのプラットフォームを設営し、その上からヒコーキを飛ばします(テレビで見たことがあると思います)。そのプラットフォームの上から見た、遠くまで広がる琵琶湖の景色は今でもはっきりと脳裏に焼き付いています。自他ともに認める筋金入りのヒコーキマニアです。出来るものなら、もう一度鳥コンにチャレンジしてみたいです!

講義・演習・少人数クラスについて

【学部科目】

 「ジェンダーと社会構造」では、ジェンダーやセクシュアリティに関わる社会現象・社会問題を取り上げ、それらがどのように社会のしくみに埋め込まれているかを分析し、政策による問題解決の可能性を探ります。授業では、家族、労働、性的マイノリティ、性暴力、貧困の女性化などの問題に加えて、メディアによる最新の報道や、私たちが日常生活の中で経験する身近な事柄などもテーマとして取り上げ、現代社会におけるジェンダーやセクシュアリティの構造について考えます。

【大学院科目】

 「ワーク・ライフ・バランス研究」では、ワーク・ライフ・バランス社会の実現のために、個人、家族、コミュニティ、企業はどのような課題を乗り越える必要があるかを考えます。「組織心理学」では、モチベーション、職務満足、組織コミットメント、ストレス等の問題を取り上げます。レクチャーとは別に、働く人々の心の働きに関する文献を読み、受講者間での意見や感想の交換を通して、職場における「こころの現象」とその影響について考えます。

受験生へのメッセージ(学部・大学院)

受験生の皆さんには、学部・大学院に入学する前に、自分は学部または大学院で何を勉強したいのか、何を研究したいのかを、なるべく具体的に考えていただきたいと思います。入学してから考えることも出来ますが、大学で過ごす時間は限られています。早い段階で自分が知りたいこと、学びたいことがはっきりしていれば、入学後の方向性ややるべきことが明確かつ具体的になり、良い成果につながりやすいと思います。