同志社大学 政策学部

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政策学部講演会特集

政策学会講演会(レポート)
『クリミア騒乱の利益?:ウクライナ内政と外交の変化を考える』

テーマ『クリミア騒乱の利益?:ウクライナ内政と外交の変化を考える』
講師松嵜 英也 氏
日時2019年7月20日(土)10:45~12:15
会場新町キャンパス尋真館(Z21)

去る7月20日、政策学会講演会に講師として津田塾大学学芸学部講師の松嵜英也氏をお迎えし、「クリミア騒乱の利益?-ウクライナ内政と外交の変化を考える-」というテーマでお話しいただいた。旧ソ連構成国のウクライナは2004年のオレンジ革命、2014年のマイダン革命、それに続くクリミアの帰属変更と東部の混乱と、不安定な情勢が見られ、2019年4月の大統領選挙においては俳優出身のゼレンシキーが当選している。また、EU・米国とロシアとのせめぎ合いも続いている。松嵜氏はウクライナやモルドヴァを主たるフィールドとする新進気鋭の国際政治研究者であり、在外経験を踏まえて、現地の動きに関する分析を構造的に行った。

松嵜氏は、講演の前半では、クリミアのロシアへの帰属変更の理由について、4点を指摘した。即ち、当時のウクライナ政府が機能不全に陥っていたこと、クリミア内のロシア語話者が「ロシア連合」の元に結集したこと、ロシアがウクライナを自身の影響圏として認識していたこと、そして欧米の介入がロシアの危機意識を高めたことの4点である。

講演の後半では、クリミア騒乱後のウクライナの現状が考察された。ウクライナでは、反腐敗に向けて司法制度改革が進んでいるが、その効果は疑問である。統治システムは、大統領制型から議院内閣制型の半大統領制に変化する一方で、懸案の議会内多数派形成の問題は残存している。国内避難民問題も依然として深刻である。結果として、クリミア騒乱を契機に巨大化した「民主派」主導の改革疲れが顕著となり、それが4月に大統領選挙にも現れた。以上が後半の主たる内容である。

土曜日開催ということもあり、学内外から熱心な参加者が集まり、質疑の時間も足りない程、充実した講演会となった。

(政策学部教授 月村 太郎)

政策学会講演会(レポート)『クリミア騒乱の利益?:ウクライナ内政と外交の変化を考える』