政策学部講演会特集
政策学会講演会(レポート)
『日本の安全保障と沖縄』
テーマ | 『日本の安全保障と沖縄』 |
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講師 | 前泊 博盛 氏 |
日時 | 2019年12月14日(土) 10:45~12:15 |
会場 | 今出川キャンパス 至誠館(S21) |
去る12月14日、講師として沖縄国際大学経済学部教授の前泊博盛氏をお迎えし、「日本の安全保障と沖縄-日米安保と地位協定~沖縄が問う日本の民主主義」というテーマで、政策学会講演会を実施した。前泊氏は、琉球新報社に入社後、論説委員長を最後に退社し、2011年4月から沖縄国際大学にて教育・研究活動を続ける一方で、テレビや新聞などマスコミにて活発に発信をされている。明治の琉球処分、太平洋戦争での地上戦から日本復帰後の現在に至るまで、沖縄は常に日本の安全保障上の重要拠点であり続けている。1995年9月の沖縄米兵少女暴行事件、2004年8月の沖縄国際大学米軍ヘリ墜落事件の後、沖縄県民の反米基地感情の高まり、それに対する日本政府の対応などから、沖縄が国内政治問題としても常にクローズアップがなされていることは周知の通りである。
前泊氏は、トランプ政権による「思いやり予算」5倍増に加えて、「爆買」されるオスプレイ、F35や2基で5000億以上のイージスアショアを事例に、増える日本負担にまず触れた後、日米地位協定に見られる日本の国家主権の制限に言及した。そして、選挙民主主義の限界を指摘し、普天間飛行場以上に嘉手納飛行場が危険であるにも拘わらず、対応がなされていないこと、更に、経済性の点で基地経済について如何に問題が多いかについて基地跡地の経済効果を引き合いにして明らかにした。そして、日本の安全保障上の重点を日米安保からAU(アジア・ユニオン)へ変化させることによる安全保障や経済における利点について、EUをモデルに主張され、講演を終えた。
学内外、特に学部生の参加が多く、30分間を超える個別の意見交換が講演後に行われたことからも、参加者の沖縄に関する関心が高いことが明らかでなった講演会であった。
(政策学部教授 月村 太郎)
