同志社大学 政策学部

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政策学部講演会特集

政策学会講演会(レポート)
『宇宙航空研究開発機構と科学技術政策の実際』

テーマ『宇宙航空研究開発機構と科学技術政策の実際』
講師宮崎 英治 氏、柳瀬 恵一 氏
日時2019年10月14日(月) 13:10~14:40
会場新町キャンパス尋真館(Z21)

10月14日、政策学会講演会に講師として宇宙航空研究開発機構(JAXA)の研究開発部門から宮崎英治氏と柳瀬恵一氏のお二人をお招きし、宇宙ロケットの研究と開発を中心に宇宙政策におけるJAXAの任務、科学技術イノベーション政策における現状についてご講演いただいた。

年間2000億円ほどのJAXA予算の中で1500億円ほどをしめる宇宙開発予算を使ったプロジェクトにおいて、まず注意が必要なのは研究と開発の違いである。お二人のご講演はこの役割分担から始まった。研究とは研究者個人の「自由な発想」で行われるが、他方の開発はあらかじめ出口が決まっており使われる技術も分かっている。JAXAではこの二つを巧く使い分けて、研究者個人の責任で自由な発想を育てる研究部門と、国家の開発方針とのマッチングを図っているのである。国家の開発方針は統合イノベーション戦略、国立研究開発法人・宇宙航空研究開発機構の中期計画と中期目標に記されており、これらの政策文書の目標達成がマッチングのねらいになっている。

ともすれば宇宙ステーション「きぼう」、小惑星探査機「はやぶさ」、A2ロケットなどの開発の実体験に一般人の目が向くが、政策学部教育としてみると計画を管理して研究開発から成果を最大化するマネジメントの仕組みが非常に興味深かった。

この講演会は政策学部の科学技術政策の講義とのコラボレーションで行ったので、一般の聴衆の他に、学部生にとっても貴重な政策実践の話になった。文科系の学生が知らない科学技術の世界が身近に見えたという感想が多い。また、この日は学生の御父母にも公開した授業だった。「科学技術の高度で難しい話を学部の講義でしてくれたのに感謝している」、「多くの学生が静かに聴き入ってるのに驚いた」、「机上の空論ではなく、現場の経験談をリアルに語ってくれる今回のような講義を増やして欲しい」という御父母の感想と要望を頂戴した。全体として好評であったと思う。


(政策学部教授 山谷 清志)

政策学会講演会(レポート)『宇宙航空研究開発機構と科学技術政策の実際』
宇宙航空研究開発機構と科学技術政策の実際