同志社大学 政策学部

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政策学部講演会特集

政策学会講演会(レポート)
『少子化対策の現状と課題』

テーマ『少子化対策の現状と課題』
講師石橋 英宣 氏
日時2019年7月8日(月)14:55~16:25
会場新町キャンパス臨光館(R302)

去る7月8日、政策学会講演会に講師として内閣府大臣官房総務課企画官である石橋英宣氏をお迎えし、「少子化対策の現状と課題」というタイトルでお話しいただいた。石橋氏は、ご自身が近年携わっておられる少子化対策について詳細かつ明快に解説くださった。

人口構成に関わる基本的な統計データの解説を通じて、日本の少子化の現状についての大まかな特徴づけを行った後に、その原因とされる結婚、所得、雇用と少子化の関係について説明された。現在の20代、30代の若者が結婚や出産をためらう理由の大きな要因は、かつてに比べてこの世代の所得が大きく落ち込んでいることがデータから確認される。また、男性の雇用形態が正規か非正規かによって、配偶者を持つ割合に大きな開きがあることが示された。男性が育児休暇を取る割合は上昇傾向にあるものの、依然として低水準であり、これを上げていくことは出産後の夫婦の負担を軽減することにつながるのではないかとの指摘もされた。

少子化対策の内容としては、主にこれまで政府が行ってきた取組について中心的に解説された。日本の少子化対策への支出のGDP比率は1.29%であり、少子化対策先進諸国と比べて低く、日本政府としても2%を超える程度に数値を上げて行きたい意向のようである。近年、「子育て安心プラン」により待機児童解消へ向けた取り組みが始まり、「人づくり革命」には幼児教育・保育の無償化が柱として組み込まれ、具体的な政策の形が整いつつあるとのことであった。

ご講演では、少子化対策に即して、特定の課題を解決するための政策が具体化されるまでのプロセスについても詳しくご説明下さり、第一線の政策現場の様子が受講生にも伝わったのではないかと思われる。また、ご講演後の質疑応答では受講生のみならず、一般の方からも質問があり、活発な意見交換がなされ、盛況のうちに講演会は終了した。

(政策学部教授 川上 敏和)

政策学会講演会(レポート)『少子化対策の現状と課題』