政策学部講演会特集
政策学会講演会(レポート)
『イギリスのEU離脱(Brexit)とアイルランド』
テーマ | 『イギリスのEU離脱(Brexit)とアイルランド』 |
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講師 | 小舘 尚文 氏 |
日時 | 2018年6月5日(火)10:45~12:15 |
会場 | 新町キャンパス尋真館(Z21) |
2018年6月5日、政策学会講演会として、アイルランド国立大学ダブリン校社会科学部・法学部教員の小舘尚文さんをお迎えし、「イギリスのEU離脱(Brexit)とアイルランド」というタイトルで御講演いただいた。
最初に簡単な自己紹介、アイルランド国立大学ダブリン校社会科学部・法学部の位置づけ、そして同学部と同志社大学政策学部との関係について紹介をされた後、イギリスとアイルランドとの関係を1691年のボイン川の戦いまで遡ってお話しになった。その中で、現在のアイルランドの三色旗が、カトリックの「緑」(=南)、平和の「白」、プロテスタントの「橙」(=北)を意味し、「緑」と「橙」が結びついて「白」を実現するという将来構想を象徴しているという興味深いエピソードにも触れていただいた。また、アイルランドの現状について、政治体制、政党・選挙、経済の側面から説明があった。
御講演の後半の主たる内容は、イギリスのEU離脱とそれがアイルランドに及ぼす影響であった。離脱の選択肢としては、単一市場からの離脱も含むハード、移民制限を中心に脱退を目指すソフトがあり、どちらにせよ、アイルランドへの影響は免れないというお話であった。更に離脱の決断の結果、これまで表面化してこなかったアイルランドの国民国家観、アイデンティティが明るみに出るという副次的効果も指摘された。
御講演後、アイルランド国民のイギリス観や両国の歴史的言説など、更に内容の理解を含めるような質問が相次ぎ、今回の講演に関する関心の高さを物語る形となった。
(政策学部教授 月村 太郎)
