同志社大学 政策学部

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政策学部講演会特集

政策学会講演会(レポート)
『グローバル化時代と入国管理-いま、「国境」で何が起こっているか』

テーマ『グローバル化時代と入国管理-いま、「国境」で何が起こっているか』
講師田北 雅也 氏
日時2017年12月19日(火)14:55~16:25
会場新町キャンパス尋真館(Z31)

12月19日に田北雅也氏(法務省大阪入国管理局審査監理官)を迎え、「グローバル化時代と入国管理-いま、「国境」で何が起こっているか」というテーマで講演をいただいた。講演では、入国管理局の業務が4点に分けられ、出入国の公正な管理、外国人の在留、外国人の退去強制、難民の認定のそれぞれについて紹介があった。観光立国を目指す日本にとって、観光インフラの整備は勿論重要だが、日本の「玄関」である入国審査において外国人に不愉快な思いを無用に与えて、彼らの日本に対する印象を悪くすることは避けなくてはならない。しかし、他方で観光客に紛れて、「好ましからぬ」外国人が入国することは是非とも防がなくてはならない。テロの拡散によって、テロリスト入国の可能性が決して小さくない現代の国際関係において、一見すると二律背反的なこれら2つの要請に対して、入国管理局は応えなくてはならないのである。田北氏は、これらを入国審査の円滑化と厳格化に纏め、前者については、審査待ち時間の短縮、自動化ゲートの利用拡大、後者については、各種情報の活用、偽変造文書対策の充実・強化、空海港におけるパトロールの実施、関係機関との連携をポイントとして挙げられた。また、外国人の在留・強制退去については、積極的な摘発の実施、情報の活用、警察等捜査機関との連携強化、迅速な送還の実施、在留特別許可の適正な運用の5点が強調された。最後に、日本における難民認定が厳しいと、しばしば巷間指摘されるのに対して、国連難民高等弁務官事務所関係者からは、むしろ高い評価をされていることが紹介された。講演後も、入国管理局職員の仕事ぶりや待遇など、学生ならではの質問に対して、田北氏には丁寧にお答えいただいた。

(政策学部教授 月村 太郎)

政策学会講演会(レポート)『グローバル化時代と入国管理-いま、「国境」で何が起こっているか』