同志社大学 政策学部

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政策学部講演会特集

政策学会講演会(レポート)
『まちづくりと民主主義』

テーマ『まちづくりと民主主義』
講師水島 信 氏
日時2017年11月15日(水)10:45~12:15
会場新町キャンパス尋真館(Z30)

去る11月15日、政策学会講演会に講師として建築家である水島信氏をお迎えし、「まちづくりと民主主義」というタイトルでお話いただいた。水島氏は、40年以上にわたりドイツを中心に建築家として活躍され、日本でも多くのマンション建築紛争や景観問題等に携わってこられた。このようなご経歴から、真に民主主義に則したまちづくりとは何かとの視点から、具体的な事例を交えて語られた。

日本の都市の現状について、例えばガスタンクの周辺や高圧送電線の下に住宅地が広がっている、あるいは伝統的な街並みに突如として‘‘近代建築’’が割り込んでいる等、住民の生命の危険性やまちの共有財産である景観と環境を考慮せず、人々が都市の中で共同生活することを無視した様子が見られることを紹介された。これに対して、ドイツでは都市計画、まちづくりの根源的目的は住民生活の快適性向上にあり、その結果、街区が整備され、それらの街区が集まった都市景観の美しさがあるという違いを指摘された。都市というのは器だけあっても存在する意味を持たず、人がそこに住み生活することで初めて機能することを強調され、ドイツではまちの再整備においても昔からの路地の裏道が残され、あらゆるところに街路樹やビオトープが配されていることなどの例を示された。日本ではしばしば「美しいまちづくり」という言葉が多用されるが、水島氏はこの「美しさ」のとらえ方について疑問を投げかけられた。全く同じ規格に整えたものが美しいのではなく、一定のルールの下で地域の個性を生かしたものであれば、規格が違っていても美しく、地域住民の生活空間として快適であるといえることを、京都の新条例の規制に基づいた看板とローテンブルクの看板の違いなどを示していただくことで学生はよく理解できたことと思われる。

また、特に日本の観光地では、兎角、「住民のための都市という視点」が欠けているとして、顕著な例として土産物を扱う商店ばかりになった地域や外観の規格だけは町家風に合わせているものの街並みに全く馴染んでいない新店舗が点在している地域などの具体的な問題点を示された。

都市政策が常に住民の方を向いて計画決定されるためには、民主主義社会において主権者たる民に不利になることは基本的にあってはならないことを強調されて、講演は終了した。多くの写真等の資料を交えての講演は視覚的にもインパクトがあり、水島氏の熱のこもったご講演に参加者は非常に熱心に聞き入った。講演後には質問する参加者の姿も見られた。

(政策学部准教授 小谷 真理)

政策学会講演会(レポート)『まちづくりと民主主義』