政策学部講演会特集
政策学会講演会(レポート)
『日本及びアジアにおける世代間トランスファーに年齢構成の変化が及ぼす影響』
テーマ | 『日本及びアジアにおける世代間トランスファーに年齢構成の変化が及ぼす影響』 |
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講師 | 小川 直宏 氏 |
日時 | 2017年7月10日(月)16:40~18:10 |
会場 | 新町キャンパス臨光館(R301) |
日本を代表する人口経済学の小川直宏東大教授に「日本及びアジアにおける世代間トランスファーに年齢構成の変化が及ぼす影響」という演題で講演してもらった。世代間トランスファーというのは子供の時は親が面倒をみてくれ、自分が高齢者になると子供が面倒をみてくれる、それがトランスファーであるが、それが日本及びアジアで変わってきているという。少子高齢化で財政状況がよくない日本やアジアでは今後も世代間トランスファーの果たす役割は大きい。日本はしかしながら子が高齢者へトランスファーというより、高齢者が子や孫にトランスファーしているという実態が明らかになってきている。講演で一番湧いたのは、小川氏が学生に「長男の人、手を挙げて」と挙げさせた後、「あなた方は残念ながら高い確率で一生結婚できません」と言ったときだろう。また平均余命が一日生存するとどれだけ伸びるかを、みんなに聞いてみたところ、答えは、二秒とか、一分とか非常に短い。しかし実際は六時間と長い。これはびっくりするような数値で、一日存命すれば、余命が¼日増えるというもので、誰しもがびっくりする。しかし、自分に照らして計算してみると70歳の場合85歳。あと10年生きると2.5年増えるということだから87.5歳まで生きられるということだ。20歳ならあと65年、その¼は14年、つまり99歳、みんな百歳まで生きるという勘定だ。こうした分かりやすい話を交え、年齢構成の変化が経済発展にどう影響するのかという真面目な議論は傾聴に値するものであった。
(政策学部教授 阿部 茂行)


阿部 茂行(政策学部教授)