政策学部講演会特集
政策学会講演会(レポート)
『日本の安全保障政策と平和安全法制』
テーマ | 『現在進行形で生きること』 |
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講師 | ミラー和空 氏 藤原 安紀子 氏 |
日時 | 2017年7月3日(月)13:10~14:40 |
会場 | 同志社大学新町キャンパス 臨光館(R204) |
7月3日、翻訳家であり米国人の禅僧であり、東京で編集デザイン企業を主宰するミラー和空氏と、京都出身の詩人である藤原安紀子氏を招いて講演会を実施した。主な受講者は、日頃より少人数クラスを通じて将来のキャリアデザインについて議論をしている政策学部1回生約80名(5クラス)とその他の学生、学外からの一般聴講者であった。なお、今回の講演会は「京都アメリカ大学コンソーシアム」との合同講義とし、アメリカの高偏差値校であるいわゆるアイビーリーグから京都に留学している学生6名もディスカッションに加わった。
日本在住歴39年で、オリンパス粉飾決算事件に関する記録『アメリカ人禅僧、日本社会の構造に分け入る—13人との対話』を2015年に出版したミラー氏は、英語と日本語で学生に語り掛け、主体的な発言を促した。「『いまは学生だがいつか勤めて社会人になったら』ではなく、学生はすでに社会人であり、大学も実業界の一角です。」
日本社会は流動的である。たとえば製造業の「王」は1955年以降、東洋紡、三菱重工、新日鉄、トヨタ…と10年ごとに推移してきたし、従来の日本の組織の美徳であった残業や有給休暇の辞退などがすでに時代遅れであること、すでに正規・非正規・自営業の境目もぶれていることなどなどをもとに、今後はどんな就職先であろうと、安定も安心もありえない。だからこそ、「自分」とは何か、労働市場における「自分」はどういう存在なのかを考え、自分の「マーケティング」戦略を立てなくてはならない。
ミラー氏と藤原氏は「日本語の美しさ」を語り、「あなたたちの夢や決意を、美しい日本語で『宣言』してください」と語りかけた。自分自身をマーケティングするためのキャッチコピーを作るという意味であるが、単に売り込みをするのでなく、その言葉は世界に対する意思表明であり、今後の人生を切り出す喊声であり、日本文学の名作の出だしのように「心に響く優れたフレーズ」であり、短いなかに全体像が凝縮・暗示されている者であることが望ましい、と。
受講者の大学1年生クラスメイトとの議論の末に、「笑われる自分から笑わせる自分へ」、「巻き込まれつつ巻き込んでいく」など、軽快な日本語を用いて自己の「宣言」を発表した。
(政策学部助教 木場 紗綾)



木場 紗綾(政策学部助教)