同志社大学 政策学部

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政策学部講演会特集

政策学会講演会(レポート)
『世界の子どもを児童労働から守る~NPO法人ACEの挑戦~』

テーマ『世界の子どもを児童労働から守る~NPO法人ACEの挑戦~』
講師岩附 由香 氏
日時2016年7月5日(火)18:25~19:55
会場新町キャンパス 尋真館(Z31)

岩附由香さんは、認定NPO法人 ACE(エース)の代表理事である。ACEは、岩附さんが大阪大学国際公共政策研究科の院生であった1997年に、「児童労働のない世界」を目指して学生5人で立ち上げたNGOである。当初は、世界107カ国、1100団体が参加した「児童労働に反対するグローバルマーチ」の日本での担い手として活動を開始した。

現在は、インドのコットン生産地とガーナのカカオ生産地で危険な労働から子どもたちを守り、日本で児童労働の問題を伝える啓発活動、政府や企業への提言活動、ネットワークやソーシャルビジネスを通じた児童労働を解決するための活動を行っている。最近では、2014年にノーベル平和賞を受賞したカイラシュ・サティヤルティさんを日本に招聘しての講演会活動などを主催している。

今回の講演会では、まず最初に児童労働を強いられている子どもたちが、発展途上国を中心に約1億6800万人もいることが知らされた。これには、参加した学生一同大きな驚きを感じた。ちなみに児童労働とは、義務教育を妨げる労働や、法律で禁止されている18歳未満の危険・有害な労働のことであり、チョコレートの原料となるカカオ、衣服の原料に使われるコットン(綿)をはじめ、携帯電話などに使われるレアメタルやコーヒーなど、私たちの身近なモノの製造過程において、児童労働が多数報告されている。

岩附さんがあるときインドで、児童労働を強いられてる子どもに将来の夢を尋ねたところ、「なるようになるだけ。来るもの拒まずさ」という諦観し切った返答を受け、大きなショックを受けたというエピソードも紹介された。

こうした事実を学んだ参加者からは、「生まれた家庭が違っただけで、これほど人生が変わるのは不公平」「私たちの当たり前が当たり前じゃない地域が存在し、そのことに気づかずに生きてきたことを怖いと思った」といった感想が寄せられた。

また、児童労働を無くす運動を世界的にリードしてきたインドのカイラシュ・サティヤルティ氏が、世界の子どもたちに「3つのD」(Dream 夢見ること/Discover 自分の可能性を見つけること/Do 行動すること)の大切さを伝えている、といったエピソードも紹介された。これに対し、多くの学生は自分自身へのメッセージと受け取ったようだ。「就活で悩んでいる中で勇気をもらった」といった感想もあった。

また、森永製菓の「1チョコ for 1スマイル」キャンペーンも紹介された。これは、森永チョコレートの対象商品1個につき1円がACEに寄付され、カカオ生産地の子どもたちを児童労働から守り、農家の収入向上を支える取り組みに活用されるものである。こうした商品を以前より購入し、パッケージを通して児童労働のことを知っていた学生たちも多く、「こうした企業とNGOの連携により消費者が参加できる取り組みは素晴らしい」といった感想が多く寄せられた。

多くの学生にとって未知の情報であった世界の児童労働の現実について詳しく紹介し、そうした難しい課題に真正面から取り組み続けているNGOの意義や重要さを教えていただいた、素晴らしい講演会であった。

認定NPO法人 ACE
http://acejapan.org/

岩附由香さんプロフィール
http://acejapan.org/about/message/iwatsuki

(政策学部准教授 佐野 淳也)

政策学会講演会(レポート)『世界の子どもを児童労働から守る~NPO法人ACEの挑戦~』