政策学部講演会特集
政策学会講演会(レポート)
『上勝町の挑戦-葉っぱビジネスの事例をもとに-』
テーマ | 『上勝町の挑戦-葉っぱビジネスの事例をもとに-』 |
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講師 | 谷 健太 氏 |
日時 | 2016年5月27日(金)9:00~10:30 |
会場 | 同志社大学新町キャンパス 尋真館(Z20) |
去る5月27日、政策学会講演会に講師として株式会社いろどり人材育成部主任である谷健太氏をお迎えし、「上勝町の挑戦-葉っぱビジネスの事例をもとに」というタイトルでお話いただいた。谷氏御自身は徳島市の御出身であるが、御祖父母が上勝町に在住しておられたため、幼少期より上勝町とはつながりが深く、豊富な実例を交えながら語っていただいた。
まずは、葉っぱビジネスが構築されるに至った経緯が説明された。数十年以上前、上勝町は、みかんの生産で有名であったが、冷害によって全滅し、次なる主要産業を構築する必要性に迫られていた。林業やしいたけ栽培等も行われていたが、外国からの安い輸入品におされ、町全体の経済は危機的な状況に陥った。そこで考案されたのが、高齢者(特に女性)でも従事することができる、葉っぱビジネスであった。高級和食に添えるつまものを、季節と用途に応じて、必要な時、必要なだけ供給できる体制を整えることで、見事、上勝町の経済が復活したとのことである。さらに、これまでの上勝町の農業と異なり、他の地域では真似できない仕組みを作り上げることで、日本国内の中では圧倒的な競争力を保持するに至ったのみならず、3年前に和食がユネスコ無形文化遺産登録されてから海外への輸出にも成功したことを強調された。上勝町を事例として、TPP協定発効後も、日本の農業が生き残るためには何が必要なのか、熱く語られた。
最後に上勝町には、葉っぱビジネスに続いて、次々と新しいビジネスが誕生しており、御自身でも会社を1つ立ち上げられたことを語られ、講演は終了した。講演の開始から終わりまで、参加者が非常に熱心に聞き入り、かつ、講演後も多くの質問が出されたことが印象的であった。
(政策学部教授 岡本 由美子)
