同志社大学 政策学部

  1. 政策学部ホーム
  2. 政策最新キーワード
  3. 政策最新キーワード 一覧

政策最新キーワード

「政策最新キーワード」は教員によるリレーブログです。
政策の学びに関するキーワードをテーマに、新しい切り口でのブログを展開します。

少子高齢化について

投稿者 中田 喜文:2023年3月1日
投稿者 中田 喜文:2023年3月1日
データを異なるアングルから見ると少子高齢化は、現在日本の社会活動、経済活動、そして文化活動のあらゆる側面に大きなインパクトと与える現象で、同時に、そしてだからこと日本の最大の政策課題と言えます。我々は、毎年のように日本女性の出生率が低下したことや日本国民の寿命が延びたことを知り、政策では如何ともしがたい社会法則とでも呼べる日本社会の長期趨勢現象であると思い始めていませんか。

続きを読む ”少子高齢化について”

日本銀行の深い悩み

投稿者 野間 敏克:2023年2月1日
投稿者 野間 敏克:2023年2月1日
 2022年12月21日の日経新聞に「日銀 異次元緩和を転換」という記事が載りました。前日に開かれた日本銀行の金融政策決定会合の内容を知らせるものです。
 日銀は、黒田総裁が就任した2013年から「量的質的金融緩和」と呼ばれる異次元の金融緩和を続けてきました。国債などを銀行等から購入する「買いオペ」によって貨幣量を増やし、デフレからの脱却を目指す政策でした。その結果少し景気がよくなり失業者は減りましたが、デフレ脱却とまでは言い切れませんでした。その後景気の方も怪しくなったため、買いオペを拡大し、少しずつ政策に変更を加えてきました。

続きを読む ”日本銀行の深い悩み”

「社会科学的暴力」の彼岸へ―史心と詩心、そして人文知

投稿者 井口 貢:2023年1月6日
投稿者 井口 貢:2023年1月6日
 学生時代のことです。恩師の一人であった山田鋭夫先生(1942~:理論経済学者、今はレギュラシオン理論の泰斗のおひとり)から経済史家・内田義彦(1913~1989)のある著作を読むことを勧められました。『作品としての社会科学』(岩波書店、1981)がその本でした。ここでその詳細について記述することは、限られた紙幅のなかでは無理がありますので、内田が示唆した綺羅星のような言葉を二つ記したいと思います。これは僕が強く印象に残り今も大切に感じている語です。

続きを読む ”「社会科学的暴力」の彼岸へ―史心と詩心、そして人文知”

SDGsとジェンダー

投稿者 岡本 由美子:2022年12月1日
投稿者 岡本 由美子:2022年12月1日
 2015年9月の国連サミットで、加盟国の全会一致で「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択されました。その中に、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標、つまり、持続可能な開発目標(SDGs)が記載されたことはすでに皆さん、御存知の通りです。SDGsは17の目標からなりますが、その一つが、ジェンダー平等の実現(目標5)です。1979年の国連総会で女性差別撤廃条約が採択されてから40年以上が経過しましたが、ジェンダー平等達成までの道のりはまだまだ長いと言わざるを得ません。したがって、2015年、国連の総会で、2030年までに達成すべき国際目標の一つとして、ジェンダー平等を達成し、すべての女性と女児のエンパワメントを図ることに合意したことの意味は重いと言えましょう。

続きを読む ”SDGsとジェンダー”

大人の事情と子どもの人権

投稿者 大島 佳代子:2022年11月1日
投稿者 大島 佳代子:2022年11月1日
 2022年10月14日政府は嫡出(チャクシュツ)推定制度の見直しを含む民法改正案を閣議決定しました。嫡出子とは法律上の婚姻関係にある男女の間に生まれた子のことを言います。生まれた子の母は通常は分娩の事実(母親がその子を産んだこと)で証明できますが、子どもの父の場合にはそのような証明が難しいので、法律によって父が決められます。このことを嫡出推定と言います。

続きを読む ”大人の事情と子どもの人権”

高齢社会の課題:キーパーソンをどう決めるか

投稿者 川浦 昭彦:2022年10月1日
投稿者 川浦 昭彦:2022年10月1日
 日本の法律では、親に「親権(しんけん)」を与えて未成年の子供の養育に関する権利及び義務を負わせています。つまり、子供の世話をする権利は自動的に親が得ています。この親権があるために、虐待が疑われる場合でも、行政を含む他者が親から子供を引き離すことは、親権者としての親の権利を侵害することになるため容易ではありません。虐待の結果子供が亡くなってしまったような場合には、児童相談所が批判を浴びることも多くあります。もしも親権が法律的に設定されていなければ、児童相談所はより機動的な対応を取ることができるかも知れません(それはまた別の問題を生むことは間違いありませんが)。

続きを読む ”高齢社会の課題:キーパーソンをどう決めるか”

沖縄「復帰」50年

投稿者 増渕 あさ子:2022年8月1日
投稿者 増渕 あさ子:2022年8月1日
 今年2022年は、1972年5月15日の沖縄の日本「復帰」¬、施政権の日本国への返還から、ちょうど50年にあたります。1945年4月1日米軍の沖縄島上陸とともに占領が開始され、1952年対日講和条約第三条によって、沖縄はその後1972年まで米国の統治下に置かれることになりました。

続きを読む ”沖縄「復帰」50年”

ユニバーサルアクセス

投稿者 小林 塁:2022年7月1日
投稿者 小林 塁:2022年7月1日
 英国を中心とした欧州においては、ユニバーサルアクセスという理念(以下、UA理念)が、主に行政・企業・メディアの間で浸透しており、英国議会において議論される場面をよく目にします。UA理念 とは、情報の公平性を担保する概念であり、「どこに住んでいても、どのような収入であっても、利用者が自由公平かつ無償で情報へアクセスできる権利を保障するための基本的原則」 のことを意味します。近年では、とりわけ情報通信の分野においてよく登場する用語です。

続きを読む ”ユニバーサルアクセス”

リスク評価とリスク認識

投稿者 風間 規男:2022年6月1日
投稿者 風間 規男:2022年6月1日
 私たちは、人生において、常に不測の事態に見舞われる危険と隣り合わせの生活を送っています。失業するかもしれない。生活に困窮するかもしれない。被災するかもしれない。高齢で動けなくなり介護が必要になるかもしれない。そういった心配事をたくさん抱えて生活しています。

続きを読む ”リスク評価とリスク認識”

自動運転は社会に何をもたらすのか?:学生ビジネスコンテストへの誘い

投稿者 三好 博昭:2022年5月1日
投稿者 三好 博昭:2022年5月1日

 自動車産業は、CASE1と呼ばれる領域によって、「100年に一度の大変革の時代」2に入ったといわれている。 このCASEは、「Connected:コネクティッド化」、「Autonomous:自動運転化」、「Shared/Service:シェア/サービス化」、「Electric:電動化」の4つを指すが、これらの中でも「自動運転化」は、他の3つの動きと相互に関連しながら、全体を牽引する中心的な力になっているように思える。そして、この自動運転化は、自動車産業だけではなく、今後、わたしたちの生活をも大きく変化させていくことになる。

続きを読む ”自動運転は社会に何をもたらすのか?:学生ビジネスコンテストへの誘い”

「社会的共通資本」のすすめ

投稿者 川上 敏和:2022年4月1日
投稿者 川上 敏和:2022年4月1日
 気候変動問題と相まって、社会の持続可能性に対する関心が高まっています。国連が主導するSDGsは「持続可能な開発目標」を意味し、「世界から貧困をなくすこと」と「現代の持続不能な社会経済や環境を持続可能なものに変革すること」を2本の柱としています。このまま世界を続けることはできないので早急に変えましょうというのがSDGsの主要なメッセージのうちの1つです。

続きを読む ”「社会的共通資本」のすすめ”

「自助・互助・共助・公助」

投稿者 畑本 裕介:2022年2月1日
投稿者 畑本 裕介:2022年3月1日
 社会保障の役割分担についてよく使われる表現に「自助・互助・共助・公助」というものがある。地域の生活保障の費用負担をだれが担うのかという文脈で使われる。「自助」は、天は「自ら助くる」者を助く、ということわざを語源とする。自助努力という四文字熟語ならなじみ深いだろう。社会保障の文脈では、「自らの負担」により市場からサービスを購入すること等を指す。残りの3つはこの自助をもとにして造語されたものであろう。「互助」は、費用負担が制度的に裏付けられていない自発的なものであり、地域住民の自発的支援やボランティアという形で、支援の提供がなされるものを指す。「共助」は主に社会保険を指し、介護保険や医療保険にみられるように、リスクを共有する被保険者の間で負担されるものである。「公助」は公の負担、すなわち税による負担である。生活保護や社会福祉の制度を指すとされることが多い(地域包括ケア研究会 2017: 50)。

続きを読む ”「自助・互助・共助・公助」”

グリーン社会とソーシャル・イノベーション

投稿者 服部 篤子:2022年2月1日
投稿者 服部 篤子:2022年2月1日
 SDGsは2030年を、カーボンニュートラルの宣言は2050年をゴールに設定している。2022年を迎えてゴールが一歩近づいた。2050年は少々先の未来と感じるかもしれない。首相官邸ホームページには『グリーン社会の実現』と題して以下のように表現している(URL1)。「2050年カーボンニュートラルを宣言しました。もはや環境対策は経済の制約ではなく、社会経済を大きく変革し、投資を促し、生産性を向上させ、産業構造の大転換と力強い成長を生み出す、その鍵となるものです。まずは、政府が環境投資で大胆な一歩を踏み出します」。この文言に共感する人々はいかほどであろうか。まずは、未来カルテ(URL2)を用いて2050年像をみることにしよう。

続きを読む ”グリーン社会とソーシャル・イノベーション”