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SDGsの達成にむけて

投稿者 岡本 由美子:2019年12月1日
2015年9月に国連総会で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」。そこに盛り込まれているのが、世界を変えるための17の目標である持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)。途上国のみならず先進国をも含めた世界中の一人一人に関わる取り組みであり、2016年から実施が始まっています。
社会がグローバル化する中で、全世界の人々が同一の目標を達成するための取り組みは大いに意義があり、評価ができます。一方、SDGsの数が17、かつ、ターゲットは169にものぼり、一体、どのようにそれが達成できるのか、そのプロセスは明らかになっていません。これまでの開発や環境に関する理論は大いに役に立つものの、こうやればSDGsが達成できる、といった指針は未だにありません。
ただ1つ、SDGsを達成する上で、非常に参考になることがあります。それは、様々な活動を実施する前に、SDGsの目標同士の相乗効果が見込まれるかどうか、又は、目標間でドレード・オフの関係になっていないかどうか、探ることです。私は、毎年、国内では春に徳島県の上勝町、及び、夏には、アフリカのウガンダという国でゼミ生とともに、フィールドワークに従事しています。上勝町では2012年から開始しているため、早、8回、とり行っています。ウガンダでは2017年の夏からですので、過去3回、行ってきました。ゼミのテーマは、国内の身近な例を参考にしつつ、途上国の持続可能な開発と国際協力の役割を探る、です。
興味深いことに、上勝町でもアフリカでも共通に見られることがあります。それは、女性の社会進出を積極的に進めると、経済的にも非常に大きな効果が得られる傾向にあることです。まず、上勝町の事例を見てみましょう。上勝町は何といっても、葉っぱビジネスの成功で知られた町です。基幹産業であった林業やミカン産業が後退をし、その後継事業として、株式会社いろどりの代表取締役社長の横石知二さんの御尽力もあって、立ち上がったビジネスです。その主役は何といっても、ご高齢の女性(”おばあちゃん")です。PCのタブレットやスマホを片手に葉っぱの受注をし、中には売上が一千万円を超える”おばあちゃん"の出現には多くの人が度肝を抜かされたと思います。始めはそれほど積極的でなかった”おじいちゃん"も次第に理解をし、手伝うようになったとか。今や、葉っぱビジネスは上勝の基幹産業であり、その重要な担い手はまさに”おばあちゃん"です。
アフリカのウガンダでも類似のケースがいくつもあります。アフリカの特に農村部ではまだ男女の役割が伝統的にはっきりと決まっていて、社会における女性の地位が高いとは言えない場合が多いです。しかし、近年、ジェンダー教育を通して、それが変わりつつあります。1つ目の例は、北部ウガンダの農村で日本国際協力機構が手掛ける、北部ウガンダ生計向上支援プロジェクトです。ジェンダー教育を通して、男性が女性の家事に協力するようになったことで、男性のみならず女性も野菜の生産・販売に従事できる時間が増え、それが各農家世帯の収入と幸福度の向上につながっている、ことが確認できました。類似のことは、ジェンダー教育を通して東部のコーヒー生産地でも見られます。ブフンボ有機コーヒー農家組合が女性コーヒー農家数を増やしたことにより、より品質の高いコーヒーの生産量が増えたのみならず、確実に子供の教育や家族の医療にその収益が回るようになったようです。経済と社会の相乗効果と言えるかと思います。
重要なことは、SDGsを達成することそのものよりも、目標間で相乗効果が生まれやすい活動を推進する一方、トレード・オフになるような活動をどのように排除できるのか、だと言えます。皆さんも、政策学部で一緒に考えてみませんか。
社会がグローバル化する中で、全世界の人々が同一の目標を達成するための取り組みは大いに意義があり、評価ができます。一方、SDGsの数が17、かつ、ターゲットは169にものぼり、一体、どのようにそれが達成できるのか、そのプロセスは明らかになっていません。これまでの開発や環境に関する理論は大いに役に立つものの、こうやればSDGsが達成できる、といった指針は未だにありません。
ただ1つ、SDGsを達成する上で、非常に参考になることがあります。それは、様々な活動を実施する前に、SDGsの目標同士の相乗効果が見込まれるかどうか、又は、目標間でドレード・オフの関係になっていないかどうか、探ることです。私は、毎年、国内では春に徳島県の上勝町、及び、夏には、アフリカのウガンダという国でゼミ生とともに、フィールドワークに従事しています。上勝町では2012年から開始しているため、早、8回、とり行っています。ウガンダでは2017年の夏からですので、過去3回、行ってきました。ゼミのテーマは、国内の身近な例を参考にしつつ、途上国の持続可能な開発と国際協力の役割を探る、です。
興味深いことに、上勝町でもアフリカでも共通に見られることがあります。それは、女性の社会進出を積極的に進めると、経済的にも非常に大きな効果が得られる傾向にあることです。まず、上勝町の事例を見てみましょう。上勝町は何といっても、葉っぱビジネスの成功で知られた町です。基幹産業であった林業やミカン産業が後退をし、その後継事業として、株式会社いろどりの代表取締役社長の横石知二さんの御尽力もあって、立ち上がったビジネスです。その主役は何といっても、ご高齢の女性(”おばあちゃん")です。PCのタブレットやスマホを片手に葉っぱの受注をし、中には売上が一千万円を超える”おばあちゃん"の出現には多くの人が度肝を抜かされたと思います。始めはそれほど積極的でなかった”おじいちゃん"も次第に理解をし、手伝うようになったとか。今や、葉っぱビジネスは上勝の基幹産業であり、その重要な担い手はまさに”おばあちゃん"です。
アフリカのウガンダでも類似のケースがいくつもあります。アフリカの特に農村部ではまだ男女の役割が伝統的にはっきりと決まっていて、社会における女性の地位が高いとは言えない場合が多いです。しかし、近年、ジェンダー教育を通して、それが変わりつつあります。1つ目の例は、北部ウガンダの農村で日本国際協力機構が手掛ける、北部ウガンダ生計向上支援プロジェクトです。ジェンダー教育を通して、男性が女性の家事に協力するようになったことで、男性のみならず女性も野菜の生産・販売に従事できる時間が増え、それが各農家世帯の収入と幸福度の向上につながっている、ことが確認できました。類似のことは、ジェンダー教育を通して東部のコーヒー生産地でも見られます。ブフンボ有機コーヒー農家組合が女性コーヒー農家数を増やしたことにより、より品質の高いコーヒーの生産量が増えたのみならず、確実に子供の教育や家族の医療にその収益が回るようになったようです。経済と社会の相乗効果と言えるかと思います。
重要なことは、SDGsを達成することそのものよりも、目標間で相乗効果が生まれやすい活動を推進する一方、トレード・オフになるような活動をどのように排除できるのか、だと言えます。皆さんも、政策学部で一緒に考えてみませんか。