同志社大学 政策学部

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社会に必要とされる力

投稿者 足立 光生:2018年4月1日

投稿者 足立 光生:2018年4月1日
 新入生のみなさん、ご入学おめでとうございます。心よりお喜び申し上げます。
 みなさんは新しい生活のスタート地点に立ったばかりであり、卒業後を考えるのはまだ早いと思われるかもしれません。ただし、卒業はいずれやってきて社会へ巣立つことになります。そして、社会では様々な「力」が必要とされます。
 そうした力の一例として「社会人基礎力」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。「社会人基礎力」は、2006年に経済産業省によって提唱された言葉です。経済産業省によると、「社会人基礎力」は「前に踏み出す力」、「考え抜く力」、「チームで働く力」から構成されているそうです(経済産業省のHP、http://www.meti.go.jp/policy/kisoryokuを参照)。
 このような力は、2018年の現在においても変わらず必要とされている気がします。現在、社会は新しい技術の台頭とともに急激なスピードで変化していますが、どんなに時代が変わっても、粘り強く、あきらめずに、前向きに、独りよがりにならずに対応できる底力が必要ではないでしょうか。

 ちなみに、このような力は社会生活のあらゆる側面において必要であり、民間企業で働く場合に限定したものではありません。ただし、みなさんがかりに卒業後に民間企業で働くとすれば、上述したような力と併せて、もう少し毛色の異なる「力」が必要であると考えています。
 それは、ビジネスを主体的にとらえる力です。他人事ではなく自分の立場でビジネスをとらえることができれば、ビジネスに対する普遍的な「かんどころ」を持つことができます。私も大学卒業後に外資系金融機関で働いていたことがあります。その当時、そのような力をできるだけ早期に身につけておく必要性を強く感じました。

 それでは、社会に必要とされる力を大学で身につけることは可能でしょうか。大学はそもそも、学生さんにしっかりと知識や能力を修得してもらう場所です。ただし、たとえ同じ知識を得るにせよ、その過程で積極的に能動的に課題に取り組むよう工夫を施すこと、あるいは課題を通じて主体的にビジネスを体感する機会を設けることで、社会に必要とされる力を身につけることが可能と考えています。それらは一朝一夕でできるものではありませんし、学生さん同士のグループワークを支える教員の手厚いサポート体制が必要です。そこで、講義等の大クラスよりもゼミ(演習)などの少人数クラスに適しています。

 そのような意識を持ち、大学のゼミで取り組んでいる先生も数多くいます。先月、私は「2017年度第23回FDフォーラム」(公益財団法人大学コンソーシアム京都)で、同じような意識を持ち、普段一緒に切磋琢磨している学内外の先生方とともに、それぞれのゼミ活動の取り組みを報告する機会に恵まれました。
 私は「ビジネスと学部ゼミ活動」という分科会でコーディネーターを務めるとともに、そこで「ゼミ活動でビジネスを体感する」という報告も行いました。私の報告ではゼミ(足立ゼミ)が取り組んでいる様々な活動の一例として、ビジネス・コンテストへの取り組みを紹介しました。チームで協力してビジネスプランを考え抜くなかで、主体的にビジネスを体感する可能性について報告し、フォーラムに参加した様々な先生と意見を交換することができました。

 このような取り組みはまだ道半ばですが、学生さんが社会に自信をもって踏みだすように、そして社会でいきいきと活躍できるように、これからも様々なことに取り組んでいきます。みなさんもぜひ一緒に考えてみてください。
(足立ゼミの取り組みについては、http://adachi.doshisha.ac.jpで簡単に紹介していますので、よかったらご覧ください。)