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教員紹介

山谷 清志 教授

やまや きよし

山谷 清志 教授

研究分野(学部) 政策評価と政府のアカウンタビリティ
研究テーマ(大学院) 政策評価とアカウンタビリティの確保についての国際比較
研究室 渓水館214号室
メールアドレス kyamaya@mail.doshisha.ac.jp

研究の関心(研究内容を含む)

 政策の研究(政策学)は料理の方法の勉強に近いと考えている。地球環境ODA、科学技術の研究開発政策、男女協働参画政策、防衛政策、ラオスやタジキスタンの国別援助政策、京都市立病院機構の京北町分院の収益問題など、さまざまな政策領域があるが、それらは料理に例えれば「素材」である。牛肉やマグロ、海老芋をどうやって料理するのか、そのレシピを考える作業に似ている。政策学は牛肉・海老芋を生産するわけではなく、マグロを釣りに行くのでもない。どのように料理するのかを考えるのである。

 わたしの場合、「評価」の視点で料理する。たとえば地球環境ODAに関しては国際協力機構が策定した「環境社会配慮ガイドライン」がどのような役割を果たしているのか、タジキスタンやラオスにおける中国の圧倒的な存在感の前に日本政府はどのようなODA戦略を考えるのか、空自次期戦闘機が英・伊と共同開発になった背景は何か。実はこれらは既に政策評価などの文書、JICA独立行政法人評価文書で明らかになっている。こうした一連の評価書を見て、政府や日本社会の姿が見えてくるはずである。

プロフィール

1954年、青森市生まれ。中央大学法学部政治学科、大学院法学研究科で行政学を学ぶ。財団法人・行政管理研究センターで研究者の仲間入り(1988~90)。広島修道大学法学部国際政治学科(1990~1998)で教えていたときに政府開発援助(ODA)に目覚め、同志社大学総合政策科学研究科(1995~)と岩手県立大学総合政策学部(1998~2002)で政策評価論をはじめて教えた。2002年8月、川口大臣が掲げる外務省改革の一環として外務省経済協力局評価室長に招かれODA評価の実務を担当。2003年4月、外務省大臣官房の考査・政策評価官に異動、政策評価と2つの独立行政法人、国際協力機構と国際交流基金を評価するシステムの構築に携わる。

講義・演習・少人数クラスについて

【学部科目】

講義では政策の実際を見る上で必要な知識(評価、アカウンタビリティの追究)として何が必要なのか、学生諸君一人ひとりが考える機会を提供するように心がけている。その応用として、演習や少人数クラスではいろいろな情報を収集する方法、情報の読み方、それらを使って自分の考えを正しく伝える訓練を考えている。私たちは自分が考えていることが社会のごく一部にしか過ぎないこと、私たちが普段考えていないところに実は極めて重要な物があると理解できればうれしい。

【大学院科目】

政策に関わる専門的な議論が可能になるような研究リテラシーの獲得を目指している。研究対象にアプローチする視角・視点と言っても良いだろう。政策の背景にある課題、その課題定義する際に見られる哲学・思想、政策の形成や実施に関わる体制を理解する方法、課題解決を担当するアクター(政府・地方自治体・企業・NPO/NGO)の能力と限界の見極めが研究リテラシーとして重要である。

受験生へのメッセージ(学部・大学院)

【学部生向け】

世の中にはいろいろな問題があります。あなたが毎日の暮らしの中で気づいた問題について法律学、政治学、経済学、社会学のアプローチと政策学のアプローチはどのように違うのかを、各学部のパンフレットなどを見て比べ、違いがあるならそれは何かを考えてください。また、資格を獲得する科目(会計学や法律学)とは何が根本的に違うのかについても考えてください。

【大学院生向け】

さまざまな深刻な難問に直面する今の社会では、あなたが物事を考え、理解し、行動するためには、大学だけでは得られない高度な知識を必要とする場面が多いはずです。その一方で、一般常識と呼ばれる物の理解も大事です。しかも、あなたが知らない常識があり、あなたが常識だと思っていたことが非常識だったりする場合もあるでしょう。さらに、知らなくても良いことも多いです。そんな社会では、独りよがりの自己主張では他の人の理解を得られないのは、研究でも、社会生活でも一緒です。大学院とは、単に知識を得るだけではなく、他者との共感を得る能力とスキルを磨くところです。もちろん、これらの能力・スキルを自力で開発する努力は必要です。大学院とは、そうした努力に自力で取り組むところです。