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政策学部PBL教育シンポジウム「21世紀における持続可能な社会の構築について考える」を11月8日(木)に開催しました

2018年11月14日

政策学部では、PBL(課題解決型学習)の取組みを推進することを目的として、PBL教育シンポジウムを毎年開催しています。

今年度は「21世紀における持続可能な社会の構築について考える」と題して、政策学部の岡本ゼミと小谷ゼミより、発展途上国と先進国それぞれで行われたフィールドワークについて報告されました。

 第一報告では小谷ゼミの溝口大地さん、中嶋將貴さん、寺田智恵子さん、山村文乃さん、澤田樹さん、武内佳乃子さんより、「カナダ・トロントで学んだ持続可能な環境政策」と題して、カナダのトロント市におけるフィールドワークについて報告がありました。
小谷ゼミでは、自転車の利用推進班、廃棄物減量政策班、食品ロス対策班の3つに分かれて、カナダのトロント市における先進的な環境政策の取組みを調査しました。

第一に、自転車の利用推進に関しては、トロントでは自転車専用道及び標識の整備、駐輪場の整備、シェアバイク事業の発展が進んでいることが明らかになりました。とくに、トロントと比較すると、京都市でもシェアバイク事業が実施されているものの、京都の方にはトロントが実施している1dayパスや3dayパスといった観光客を中心とした単発利用を想定した料金設定が存在せず、多様な利用者ニーズ
への対応が十分ではないとの指摘が印象的でした。

第二に、廃棄物減量政策に関しては、京都市でもごみの累積的増加によりごみ処分場の残余年数が問題視されているなかで、トロントでは、Zero Waste宣言に基づいた政策が実行されていることが明らかになりました。Zero Waste政策とは、ごみをどう処理するかではなく、ごみ自体を出さない社会を目指すもので、多額の費用がかかるリサイクルよりも、ごみ抑制やリユースを促進する政策とのことでした。とくに、トロントでは、市民の声をアンケート調査によって丁寧に拾ったうえで長期廃棄物管理計画を策定し、有機廃棄物(食料ごみや動物の排泄物など)の分別収集と堆肥化、レジ袋の有料化などを行っている点の指摘が印象的でした。

第三に、食品ロス対策に関しては、トロントでは、貧しいために必要な食料を確保できない人びとのために食料を届けるフードバンク(食料銀行)の取組みが進展していることが明らかになりました。報告では、Scott Missionという男性ホームレス用シェルターが、シングルマザーなども受け入れるコミュニティ施設としてフードバンクの機能を果たしている様子が紹介されました。とくに、この取組みは日本の子ども食堂と類似している一方、子ども食堂よりもボランティアの組織力や公的支援が充実しているという指摘が印象的でした。

最後に、小谷ゼミは、京都市の大学生・ごみ減量サポーターとしても活動しており、今回の調査の教訓を生かした今後の日本での調査活動の発展が期待されます。


 第二報告では岡本ゼミの安部桃花さん、森脇つばささん、廣岡縁さん、田中優理香さん、竹内涼さん、川田萌奈実さんより、「途上国の持続可能な開発と国際協力の役割-ウガンダ海外FWの報告-」と題して、ウガンダ各地におけるフィールドワークについて報告がありました。

岡本ゼミでは、エコツーリズム班、コーヒー産業班、テラ・ルネッサンス(ウガンダ北部の平和構築にかかわるNPO)班の3つに分かれて、「持続可能な開発」をウガンダで実現するための活動を調査しました。まず、各報告の前に、岡本教授より、「持続可能な開発」のためには、社会的包括性(社会的安定)、経済成長、環境保全の3つの要素を満たす必要があるという説明がありました。

そのうえで、第一に、エコツーリズムに関しては、MWETAという地元のコミュニティ組織がマバンバ湿地の観光に関わっている事例が紹介されました。マバンバ湿地は、ラムサール条約に指定されており、生物多様性の観点からも注目されている湿地とのことでした。しかし、MWETAへのインタビュー調査の結果、地元住民の雇用創出には成功しているものの、組織マネジメントや観光客に対するマーケティング、そして環境意識の面で不足(たとえば、湿地内にペットボトルなどが散乱している)があることが明らかになった点が印象的でした。

第二に、コーヒー産業に関しては、BOFAという農業組合(日本でいう農協)がコーヒー農家の生活の質向上に貢献していることが現地農家へのインタビュー調査を通じて明らかになりました。とくに、BOFAは、コーヒーのブランド力強化や宣伝という役割以外にも、安値でコーヒーを売らずフェアトレードを推進していたりジェンダー教育を通じた女性農家のエンパワーメント事業も実施していたりするという指摘が印象的でした。しかし、現地の小規模農家はBOFAの存在を知らなかったり、BOFA以外の仲買人を通じて安値でコーヒーが売られる事例が存在していたりするという問題も指摘されました。

第三に、テラ・ルネッサンスの取り組みに関しては、2006年まで20年間続いたウガンダ北部での内戦に参加した子ども兵の経済的自立に向けた社会復帰プロジェクト(教育の提供はもちろんのこと、医療クーポン券の配布、貧困層向け少額融資、戦争のトラウマ除去のための心理カウンセリングなどを実施)が紹介されました。とくに、テラ・ルネッサンスの職員や当プロジェクトの卒業生に対するインタビュー調査を通じて、卒業生が、地域コミュニティ(村)に帰って、プロジェクトで得た技術を村の人びとに伝達するといった正の社会的インパクトをもたらしていることを指摘している点が印象的でした。

最後に、岡本ゼミの各報告の全体の感想として、アフリカ各国(ウガンダ)を縁遠い国と思わず、私たちも開発や国際協力に主体的に関わっていくという「当事者意識」の強さを認識させられましたし、報告を聴いていた私もアフリカとのつながりを認識していく必要があると感じました。

 報告後の質疑応答ではフロアから数多くの質問が寄せられ、多くの反響の中でシンポジウムは終了しました。
今回のシンポジウムを通じて海外フィールドワークでの経験が広く共有されることで、参加した学生のさらなる活躍につながることを期待しています。


(政策学部助手 北川雄也)

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