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政策学会講演会(レポート)
『少子高齢化と日本経済』

テーマ『少子高齢化と日本経済』
講師加藤 久和 氏
日時2017年10月16日(月)10:45~12:15
会場新町キャンパス臨光館(R201)

去る10月16日、政策学会講演会に明治大学政治経済学部教授の加藤久和氏をお迎えし、「少子高齢化と日本経済」というテーマでお話をいただいた。加藤氏は1998年3月、筑波大学大学院経営・政策科学研究科修士課程を修了後、電力中央研究所主任研究員、国立社会保障・人口問題研究所室長を経て、2006年4月より明治大学政治経済学部教授に就任されている。

講演では、まず、日本社会において進行する人口減少、少子化、高齢化の実態を詳細なデータをもとに検証され、その状況を「人口8000万人社会」という表現を用いて解説された。より具体的には、諸外国の出生率の推移をもとに、下げ止まりが確認される米、英、仏に対し、低落を続ける日、独、伊との間で「出生率の二極化」が進行している現状を指摘、日本が今後も更なる経済成長の鈍化と社会保障制度の持続可能性の低下に見舞われるのは必至であるとの見通しを示され、個人、企業および政府に、「人生100年時代」を見据えた意識改革と行動原理の転換が求められるとの見解を披露された。

講演後半では、「人生100年時代」への対処戦略として、教育や育児への公的支援の拡大による全世代型の社会保障制度の移行により、経済成長の鈍化に歯止めをかけつつ、社会保障制度の持続可能性を高める必要性を指摘されるとともに、選択と集中による地方での拠点都市の形成によって、人口減少に伴う地方消滅を最小化することが重要であるとの見解を示された。その上で、人材育成のための奨学金の充実、女性の活躍を促す税制および財政支出による支援、基礎年金財源のベーシック・インカム化、高額療養費制度の充実と軽症者への免責制の導入等、今後の社会保障制度のあり方として、国民全員を給付対象とする普遍的な仕組みから「必要な人に適切に再分配を行う」仕組みに再構築することが不可欠であることを力説され、講演を締めくくられた。必要とする給付者への給付に照準を合わせた効率的な社会保障制度へと刷新することによって、世代間の不毛な対立を回避することが重要であるという加藤氏の明確なメッセージが聴講した学生達に伝わり、熱のこもった素晴らしい講演であった。

(政策学部教授 田中 宏樹)

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田中 宏樹