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政策学会講演会(レポート)
『中国の創新(イノベーション)は持続可能か―深セン市の事例を中心に』

テーマ『中国の創新(イノベーション)は持続可能か―深セン市の事例を中心に』
講師梶谷 懐 氏
日時2017年5月23日(火)13:10~14:40
会場同志社大学新町キャンパス 臨光館(R301)

中国経済はこのまま失速するのではないかと思われているが、深センを観察してみると、なかなかどうして、製造業が元気だという。深センがなぜ元気かを示すために、知的財産という視点を持ちだし、年に4回は出かけるという実証派の経済学者らしく、今起こっていることを、数多くの写真や100円ショップで売られているGoodsまで持ち出して、なるほどと思える議論を展開した。プリモダン、モダン、ポストモダンの3種の企業タイプに別け、それぞれが入り乱れているところにこそ、中国の中国たる所以があって、それが深センを元気にしているという。プリモダンとは知的所有権無視の世界で、とにかくコピー商品をあっというまに安くつくる。モダンというのは知的所有権を欧米並みに国際登録し、特許を守りながらBtoBのビジネスを展開しているグループ。近年中国企業の国際特許登録は米国に追いつかんとするぐらい多く、その6割が2社によるもの。面白いのはポストモダンと分類されたオープンソースの企業群。知的所有権をふりかざすのではなくLinuxやFirefoxのようにみんなで製品を育てていこうというタイプで、この企業群がビジネスのスタートアップに大きな貢献をしているという。プリモダンとモダンないしポストモダンの間には大きな超えられないギャップが存在しているが、お互いを排除することなく、混沌としながらも補完的に経済が動いていることが中国の強みとの結論。そして中国はまだコピー天国というのが世界の認識であるが、それは否定しないとも。5月23日(火)に開催されたこの講演会には学生のみならず、多くの中国経済に関心のある研究者の参加もあり、講演会後の彼らの質問にも梶谷教授は熱心に応えておられた。刺激的で、新しい知見が多く得られた講演会であった。

(政策学部教授 阿部 茂行)

政策学会講演会

阿部 茂行