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ピックアップ

政策学会講演会(レポート)
『日本をソーシャルデザインする~「人文系ソーシャルイノベーター」という新たな仕事像』

テーマ『日本をソーシャルデザインする~「人文系ソーシャルイノベーター」という新たな仕事像』
講師兼松 佳宏 氏
日時2016年7月12日(火)18:25~19:55
会場新町キャンパス 尋真館(Z31)

兼松佳宏さんは、とてもユニークな略歴を持っている。

ご自身がよく使われている自己紹介が、「1979年生まれの勉強家 兼 お父さん」。今年4月より京都精華大学人文学部講師として教壇に立たれている兼松さんだが、生涯一人の勉強家でもあるというスタンスが清々しい。

そんな兼松さんの講演は、まずウェブマガジン「グリーンズ greenz.jp」の紹介から始まった。greenz.jpは、“ほしい未来”をつくるためのヒントを共有するウェブマガジンであり、兼松さんは2015年まで編集長を務めていた。greenz.jpには「たった一人からでも始められる、この世界を良くするための様々なアクションやそのヒント」に関する情報が世界中から集められており、読むことを通じて読者は、傍観者から行動者になることを自然に促されるサイトとなっている。

兼松さんからは、「誰かが決めた未来」ではなく「自分がほしい未来」を歩むことが楽しい、ということと、「社会を変える」ことよりも「未来をつくる」ことのほうがたくさんの可能性がある、ということが示唆された。「変えよう」といったとたんに「変えられる対象」が生じることになり、それは相手からの抵抗を生む。これまでデザイナーとしてNPO支援に携わってきた兼松さんは、それよりも「みんながワクワクする未来をまずつくりだす」ことによって、結果として社会を動かす力がそこからあふれてくることを、経験から語った。

これは、聴いている学生たちの胸に強く響いたようで、所属サークルで古い体制を変えようともがいていた学生からは、「いきなり相手を変えようとはせずに、新しいありかたを自分からまずつくってみることが大切なんだ」との気づきを感想に記してくれた。

また兼松さんが若い頃に屋久島に行った時、思わず自分の中から詩があふれてきて、「自分の表現方法は言葉なんだ」と気づいたというエピソードからは、「まず行動して自分の五感で確かめてみる」ことや、「そこから見える景色から次の人生をつくっていく」ことの大切さを学んだ参加者も多かった。

学生たちからは「どうやったら夢を叶えていけますか?」といった質問が投げかけられた。これに対し兼松さんからは、「夢の引き出しをいっぱい持つこと」との回答が返ってきた。自分のやりたいことをたくさんストックしておいて、ここだ!というタイミングやご縁のあったときに相手と夢を語り合い、一つずつ叶えていけばいい、との答えに多くの学生は納得したようだった。

また、「自分がかつて持っていた夢や想いに、人生のステージが進むに連れ再び出会い、かつての夢が叶っていったりする。そうした“いつかの自分と再会する”機会が、必ずやってくる」とのメッセージを兼松さんは参加者に伝えてくれた。これを聴いた学生からは「自分が進みたい方向といま大学で学んでいる内容が直接つながらなくて悩んでいたが、すぐに結びつかなくとも長い人生のなかで必ず役に立つときが来ると感じ、うれしくなった」との前向きな感想が寄せられた。

参加した学生たちは、自分のワクワクや直感に素直に楽しく人生を切り拓いていっている兼松さんの姿に、一様に大きな感銘を受けたようである。「自分がしたいと感じたことを素直にすることが幸せの第一歩なんだ」という感想もあった。講演者ご自身の生き方やありようから、参加者の人生に前向きな希望を与えてくれた、素晴らしい講演会であった。

(政策学部准教授 佐野 淳也)

政策学会講演会

佐野 淳也