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対談 平尾誠二×真山達志

真山対談Talk about Policy 平尾誠二×真山達志
平尾誠二(ひらおせいじ)NPO法人SCIX理事長
平尾誠二
同志社大学商学部を卒業。ラグビー大学選手権3連覇や日本選手権7連覇などの偉業達成に貢献した中心選手として活躍。 その後、ラグビー日本代表監督を歴任。今春には同志社大学大学院総合政策科学研究科で修士学位を取得。現在NPO法人SCIX理事長としても活躍中である。
※NPO法人SCIX(SportsCommunity Complex)は、スポーツに関心を寄せる総ての人々のコミュニティの健全な発展に寄与し、広く社会一般に貢献することを目的に設立された。
日本人が苦手とする対応力を養うためには不規則、
つまり予測不可能なトレーニングが必要。
平尾誠二、真山達志
真山:平尾さんは日本人の能力についてどうお考えですか?
平尾:ラグビーに「ターンオーバー」といって、攻めから守りに転じる時があります。同じように、企業や組織など社会のどの分野においてもターンオーバーがあると思いますが、日本人はこれに対応するのに時間がかかり、この点が不得手だと思います。スポーツのトレーニングでもそうですが、日本の練習方法は規則的なものが多い。規則性があるということは、つまり予測できるんですね。そうではなくては不規則なトレーニングがあっていいと思うんです。不規則なトレーニング、つまり予測不可能なトレーニングを実践することで予測不可能なことに対応する力がつく。これはスポーツに限らず、社会での教育でも重要なことではないでしょうか。
真山:トレーニングで政策決定力は伸びるでしょうか?
平尾:政策の決定においては問題の所在を明らかにすることが重要だと思います。「政策決定」と聞くと難しく思われがちですが、実はそうではなくて、みんな普段やっていることなんですね。個人の立場で各々が決定するためのプロセスを持っている。肝心なのは目標に向かって問題を発見し、解決を図る。そこで足りなければまた問題を発見し、さらに解決していく、そうしたフィードバックを繰り返して、ものごとを深く掘り下げて理解することが大切だと思います。そこで必要となるのが状況判断ですが、状況判断でもっとも重要なのはスピードです。そうしたスピードを養うには、トレーニングが必要です。決定のプロセスを理解したうえでトレーニングをすることで、状況判断力は伸びると思います。
真山:なるほど。少し話はかわりますが、平尾さんは現在SCIX※というスポーツの振興を目的としたNPOを運営されていますが、それを立ち上げたきっかけを教えてください。
平尾:日本のスポーツが、限界にきているんじゃないかと思ったんです。バブルがはじけて、景気が不安定になって、社会が「スポーツ」をする余裕がなくなった。大人たちは仕事に追われ、子どもたちは学校が終わった後も塾に通ったりして、みんなで時間を共有することが少なくなった。スポーツとは本来、社会の中の一つとして地域や産業を盛り上げていくべきものだと思うんです。そこでスポーツという自発性のある活動の受け皿としての基盤が必要なんじゃないかと思い、SCIXを立ち上げました。これまでになかったスポーツの基盤として運営していくには、さまざまな人が必要です。選手だけではなく、見識のある方々の意見などを積極的に取り入れていくべきだと思っています。
真山:では、日本のNPOについてどう思われますか?
平尾:みなさん真剣に取り組まれていると思います。数は増えていますが、まだまだクオリティーは低いと思います。そもそもNPOでは公的機関ではなかなかできないサービスを提供していく公共政策が重要だと思います。組織としてクオリティーを上げるにはなによりもマネジメント力が不可欠です。マネジメント能力が根幹にあって、それに公共的な知識を付加することで政策決定が可能になります。またNPOにはさまざまな思いを強く持った人たちが集まります。その人たちをまとめあげていくにはマネジメント能力とリーダーシップが必要になるんじゃないでしょうか。
真山:今回設置される政策学部にはマネジメント政策クラスターというものがありますが、まにそれが必要だということですね。
平尾:そうですね。政策やマネジメントについての研究は、どんなことにでも応用できるんじゃないでしょうか。私は同志社大学の総合政策科学研究科でスポーツ政策を研究しました。そこで得たことをスポーツの練習方法にも応用したんですよ。当時、私はラグビー日本代表の監督をしていましたが、私が導入した練習方法を代表にいた外国人の選手が見て「そんな練習方法をどこで習ったんだ?」って言ったくらい効果的な練習方法でした。
真山:大学院で研究されたことがそのまま役立っているということですね。では最後に受験生にメッセージをお願いします。
平尾:問題発見、解決のプロセスを身につけて、それをフィードバックしてものごとを深く掘り下げて理解する。この能力をしっかり身につければ、実社会のいろんな局面で応用できますよ。日本人が苦手とする対応力を養うためには不規則、つまり予測不可能なトレーニングが必要。問題発見、解決のプロセスを身につけて、フィードバックしながら物事を深く掘り下げることが大事。