こちらに共通ヘッダが追加されます。

TOP > 政策最新キーワード

政策最新キーワード

食品ロス問題

小谷 真理 投稿者 小谷 真理 : 2018年12月4日

 12月に入り、クリスマスに忘年会、大晦日と賑やかなイベントが続く季節となりました。年を越せばお正月のお祝いがあり、新年会に出かける機会もあるでしょう。
 日本には季節の折々にさまざまな行事があり、それぞれにしつらえを整えて、特別な料理をいただく風習があります。このように伝統を継承し食文化を楽しむことは素敵なことですが、ここ数年、ショッキングなニュースを目にします。

 たとえば、節分に食べる恵方巻が大量に廃棄されています。恵方巻を食べる風習が全国的に広がる一方、それにあやかって利益を追求し、販売個数をどんどん増やしていった結果、大量の売れ残りが発生しているのです。2018年2月には、現状を憂いた兵庫県のスーパーが「もうやめよう」と、過熱する市場に一石を投じる広告を出して話題になりました(朝日新聞デジタル2018年2月5日)。土用の丑の日でも、絶滅が危惧されるにもかかわらず、ウナギのかば焼きの大量廃棄が発生しています。
 売れ残りや食べ残しなど、本来食べられるのに捨てられてしまう食品を「食品ロス」といいます。日本国内で1年間に生じた食品ロスの量は646万t(2015年度推計)、これは国連食糧計画(WFP)による食糧援助量(約320万t)のおよそ2倍にあたる衝撃的な量です。日本は食料の自給率が低く、海外からの輸入に大きく依存していることとも大きく矛盾した状況にあります。
 家庭ごみにおいても、事業ごみにおいても、食品ロスは大きな割合を占めています。京都市を例にとると、2017年度、家庭ごみの約40%(75,550t)が生ごみであり、その内、手付かず食品や食べ残しなどの食品ロスが約37%(27,876t)でした。事業ごみの内訳では、生ごみが約40%(72,976t)を占め、その49%(35,750t)が食品ロスです。このような現状を踏まえれば、食品ロスを減らすことは、シンプルに食べ物がもったいないという理由からだけでなく、経済、環境、社会問題に関わるものとして重要な課題となります。
 まず、食品ロスの削減は、増大する処理コストの削減に貢献するものです。一般廃棄物の処理を担う市町村等が年間に要する処理コストの総額は約2兆円(2016年度)に上っています。
 また、最終処分場が不足する現状では、食品ロスの削減は大きな意味をもちます。燃やすごみを中心とする一般廃棄物の最終処分場は、全国平均で2016年末から20.5年でいっぱいになってしまうと推計されています。特に近年は、リサイクル等による再資源化の過程にかかるコストや環境負荷が問題視され、根本的な問題の解決策として、そもそもごみを出さない、ごみにしない、2R(リデュース、リユース)の推進が叫ばれています。食品ロスは、本来ごみにならないで済む食べられるものですから、リデュース対象として少しでもその量を削減して埋め立て量を減らすことは重点化されるべきものといえるでしょう。結果として、燃やすごみ量が減少すれば、処理過程でのCO2排出量を抑制し、地球温暖化対策にも寄与することになります。
 加えて、7人に1人といわれる子供の貧困率の深刻さを考えれば、本来無駄になってしまう食品を必要とするところに分配することでいくらかでも問題の軽減が図れる可能性もあります。
 食品ロスの削減は、世界的な課題でもあります。2015年に国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」でも食料の損失や廃棄の削減がその目標(SDGs)として設定され、2016年5月に行われたG7農業大臣会合及び環境大臣会合では、2030年までに世界全体の一人当たりの食料廃棄量を半減することを目指して各国が協調し、積極的に取り組んでいくことが合意されています。
 小谷ゼミでは9月にごみを出さない社会の形成を目指すゼロ・ウェイスト宣言都市・トロントでフィールドワークを行い、食品ロス問題の解決に向けた多くのヒントを得てきました。詳しくは、京都市ごみ減量推進会議会報誌・こごみ日和78号(12月末発行予定)に掲載予定ですので、関心のある方はご覧ください。
 食品ロスの減少には、まず家庭などから残っている食品を集めるフード・ドライブのシステムが確立され、フードバンクなどの充実した余剰食品の受け皿が整っている必要があります。また、生産から消費までのプロセスを効率化し、発生抑制を図ることが重要です。トロントでは、量り売りやアプリ等を用いたフードシェアシステムが有効に機能していました。加えて、食品ロス削減につながる取り組みが周知されていなければなりません。環境省だけでなく、消費者庁や農林水産省のホームページでも特別コーナーが設けられ、情報発信がなされています。京都市であれば、小谷ゼミは京都市「大学生・ごみ減量サポーター」として、TwitterとInstagramで日常生活での食品ロス削減を含むごみ減量化への取り組み内容を紹介する活動を行っています。
 ごみ減量のキーワードである3Rのうち、食品ロス削減が該当するリデュースを含む2Rは、事業者側にはものづくりの仕方や売り方に工夫を迫り、市民にはライフスタイルの転換を強く求めるものです。食品ロスの問題解決に向けて、身近なところから私たち一人ひとりが、何ができるのか、今後も皆さんと考えていければと思います。


参照

*環境省「我が国の食品廃棄物等及び食品ロスの量の推計値(平成27年度)等の公表について」2018年4月17日。
*環境省「第3章循環型社会の形成」『平成30年環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書』。
*京都市ホームページ・ごみリサイクル情報
http://www.city.kyoto.lg.jp/menu1/category/1-0-0-0-0-0-0-0-0-0.html
*京都市 大学生・ごみ減量サポーター 同志社大学政策学部小谷ゼミ
https://mobile.twitter.com/gomi_supporter7
https://www.instagram.com/p/BlVGJd7nEZ0/