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APECの再活性化に期待を寄せて

岡本 由美子 投稿者 岡本 由美子 : 2010年10月4日

 今年11月、横浜でAPEC首脳会議・閣僚会議が開催される予定です。皆さんはAPECと聞いて何を連想されますか。

 APECは、日本とオーストラリアが中心となって1989年に結成された、アジア太平洋地域における地域経済協力の枠組みです。ヨーロッパとは異なり、長年、その重要性が指摘されながらもなかなかアジアでは地域経済協力の枠組みが構築できず、当時APECは、画期的なものとして世界から注目を浴びました。また、今から15年前の1995年、APEC首脳会議・閣僚会議が日本(大阪)で初めて開催されました。APEC大阪会議は、その前年の1994年に発表されたボゴール宣言を受け、域内の自由化を促進するための行動指針を決定するという、極めて重要な会議でありました。
 残念ながらその後APECブームは下火となり、メディアでも取り上げられる頻度がめっきりと減りました。その要因は大きく言って2つあると思います。1つはいうまでもなく、1997-98年に勃発したアジア通貨・金融危機の影響であります。アジアの経済成長への過度な期待から大量に流入した外資がアジアから一挙に流出をし、多くのアジア諸国の実物経済が大きな痛手を受けました。残念ながらAPECという地域経済協力の枠組みは、有効にその問題に対処できませんでした。
 もう1つの理由は、APECはEUと異なり、各国・地域経済の活動への参加は自発的、非拘束的なものであるとしているため、その実効力に疑問が提示されたことであります。アジア太平洋地域はアメリカやヨーロッパと異なり、経済発展段階、政治体制、歴史、文化、言語等々、極めて多様性に富んでいるため、EUのような制度的統合を最初から目指すことは不可能であったわけですが、参加国が増える一方、APECの実効力の問題が浮上してきました。今後、APECがEUのようなより制度的に拘束力の高い地域経済協力を目指すのか、それとも、これまでの自発的、非拘束の原則を貫くのか、大きな岐路に立っているといえます。
 21世紀に入り、アジア太平洋地域でもFTA(自由貿易地域協定)全盛の時代を迎え、APECの存在感が低下する一方でありましたが、アメリカに民主党のオバマ大統領率いる政権が誕生するとAPECに対する期待が再び高まってくるようになりました。その大きな理由は、アメリカが太平洋国家として安全保障と繁栄面でアジアに関与することをオバマ大統領が約束したからであります。世界経済において中国やインドが急速に台頭するものの、アジアにとってアメリカは依然、市場の大きさ、軍事力、科学技術力等からいって非常に重要な国であることには変わりはありません。一方、日本は中国に経済規模の面で抜かれ、その存在感が急速に低下はしてきていますが、依然、アジアの経済大国の1つであることは間違いなく、日本はアジア太平洋地域の中でアメリカとアジアとを結ぶ、非常に重要な役割を担っているといっても過言ではありません。
 今年、APECはボゴール目標の中間期限でもあり、今後の行方を決定する上で非常に重要な年にあたります。また、日本はこれまでAPECの構築・発展に大きな貢献をしてきましたので、日本はAPECを通してアメリカをアジアにつなぎとめながら、アジアの経済発展と繁栄のためにできることは少なくありません。15年ぶりにAPEC会議が日本で開催される今こそ、日本の手腕の見せ所です。皆さんも政策学部で一緒に、地域経済協力の在り方と日本の役割について考えてみませんか?