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政策最新キーワード

結果と原因

久保 真人 投稿者 久保 真人 : 2009年10月6日

民主党政権

 これを書く前に、政策キーワードのバックナンバーを一読してみた。餃子やら生キャラメルやら、私一人が政策とはまったく関係のない話をしているようだ。そこで、今回は正しい政策キーワード「民主党政権」から書き始めてみる。

 新聞など硬派のメディアもワイドショーも、新政権への期待一色である。新聞は、政策などに焦点をすえ、ワイドショーは、おもだった閣僚の過去の同級生などを騒動員して、“魅力的な”人物像を描いてみせる。ただ、「少しほめすぎだろう」と思う人も心配することはない。このあたりはワイドショーの独壇場で、持ち上げるだけ持ち上げておいて、世論の風向きが変わったと見るや、総叩き状態に転じる。「一粒で二度おいしい」(このコラムの想定読者層にはわからないフレーズかもしれませんが)戦略が密かに準備されているのである。
 まあ、後のことはそれとして、マスコミが、硬軟取り混ぜて、最も多くの紙面を割き、時間を費やしていたのが、「なぜ民主党がここまで支持を集めたのか」、「なぜ自民党が大敗したのか」、その原因の究明である。醒めた目で見れば、「結果そうなったんやから、原因なんてどうでもいいやん」ということになるが、日本の“狡猾な”マスコミのことである。誰もが「なぜ?」ということに強い関心を寄せていることをわかったうえでの“総力取材”なのである。
 社会では、「政権交代」など国全体に関わる出来事から、「友人から無視された」など私的なことまで、日々さまざま出来事が起こっている。私たちは、それらをただ見たまま聞いたままに受け入れるのではなく、積極的にその原因を知ろうとする。「政権交代」に関する新聞の解説欄を熱心に読む人、記憶を頼りに、友人を深く傷つけたかもしれない自分の何気ない一言を想いだす人、これらは、出来事の原因を知ることで、その出来事の原因と結果、つまり「因果関係」を理解しようとしているのである。このように、出来事の背後にある因果関係を推論、特定しようとする行為を、心理学では、帰属(attribution)と呼ぶ。
 なぜ、いろいろな出来事を「帰属」しようとするのか。それは、さまざまな出来事の因果関係を理解していくことで、将来の行動、選択についての指針を得ることができるからである。思わぬことで友人と仲違いした人は、自分の心ない言葉を率直に謝り、関係の修復をはかるだろう。また、同時に、今回のことをきっかけに、自分と他人との越えられない一線、ものの見方や感受性の違いに気づくかもしれない。さらに、さまざまな因果関係を理解することは、他人の行動を予測する場合にも大いに役立つであろう。
 この意味で、私たちが、日々の出来事に、ほぼ自動的に「なぜ?」という問いかけを発するのは(発していない人は、これまた「なぜ?」と考えてみる必要があるかもしれない)、社会生活の中で、自然に“社会性”を学んでいけるよう、生まれた時からプログラムされた行動だと言えるだろう。人が「社会的動物」と呼ばれるゆえんでもある。
 民主党も、今しっかり「なぜ?」ということを問うて自戒しておかないと、次は我が身ということになりかねない。ただ、人が同じ失敗を繰り返すことは「人類の長い歴史が・・・」、まあ、そこまで大げさな言い方をしなくても、自分の過去を少し振り返れば明らかである。「わかっちゃいるけど・・・」ということをなぜ繰り返すのか、これはこれで私自身にとっても興味深いテーマではある。