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京都の街にLRTは走るか?

式 王美子 投稿者 式 王美子 : 2008年7月15日

先月末に行われた「今出川通りにLRTの実現を推進する会」の説明会に参加し、LRT(Light Rail Transit)について考える機会を得た。LRT=路面電車という認識が一般的だが、昔のゴトゴト走る路面電車とは違い、LRTは騒音・振動の削減や、歩道から直接乗降できる低床式車両など最新の技術を装備している。

近年、世界の都市でLRTなど鉄道建設がブームになっている。車社会と名高いロサンゼルスでも、1990年代以降、次々にLRTと地下鉄が開業した。ヨーロッパでは、ドイツやフランスの多くの都市がLRTを導入している。日本では、2006年に開業した富山のLRTの話題は記憶に新しい。「環境にやさしい乗り物」、「交通渋滞緩和」はLRT推進によく付随するスローガンであるが、LRTの導入が社会に問うているのは、単純に環境問題や交通問題ではなく、私たちのライフスタイルの転換である。

郊外化が進み自動車所有率の高い地方都市では、自動車利用者を公共交通機関にシフトさせるのは容易ではない。自動車の利用がし易い、言い換えれば、公共交通機関が利用しにくい低密度で分散化した都市開発が行われてきたからだ。そのため、地方都市の公共交通機関は乗客数の減少とそれに伴う事業赤字に苦戦している。その問題は、最新式のLRTを導入しても簡単には解消されない。鉄道は自動車と違って、都市形態がコンパクトであってこそ効力を発揮する乗り物である。LRTの乗客数を増やすには、路線沿いの住宅の高密度化を図ったり、事業所を路線の主要駅に集中させたりするなど、LRTを使いやすくするように、都市全体で長期的に市民がLRTを守り育てていく必要がある。

適度に密度が保たれ賑わいのある市街地、高齢者や子供、そして街に不慣れな観光客も移動を楽しむことができる街、もちろん環境への負荷は小さい。LRTは街のそんなライフスタイルのシンボルとなるだろう。鉄道サービスのあるライフスタイルに価値を見出すことができるのか。それとも、このまま車に依存した生活を続けるのか。これまでLRTを導入した都市は、歩ける暮らし、鉄道のある暮らしに将来的な価値を見出し、その事業への財政的負担に賛同した。京都市にLRTが走るのか、それには京都市民が将来的にどんな社会・ライフスタイルに価値を見出し、投資していくのかにかかっている。

【関連ページ】
京都市都市計画局交通政策室「新しい公共交通システム」
京都・今出川通りにLRTの実現を推進する会(新今電会)