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コソヴォの独立をめぐって

月村 太郎 投稿者 月村 太郎 : 2008年6月25日

2008年6月15日にコソヴォ共和国の憲法が発効しました。コソヴォ共和国は2月17日に独立宣言を行ったという、いま世界で一番新しい国です。日本政府は3月18日にコソヴォを国家承認しました。人口は212万人(推計値)、面積は10,887平方キロメートル(日本の岐阜県とほぼ同じ)という本当に小さな国です。

コソヴォはユーゴスラヴィア社会主義連邦共和国(略称、旧ユーゴ)を構成していたセルビアの一部でした。旧ユーゴから、1991年6月にスロヴェニア、クロアチア、11月にマケドニア、1992年3月にボスニア・ヘルツェゴヴィナ、2006年5月にモンテネグロが独立しました。かつての旧ユーゴは、コソヴォの独立の結果、7ヵ国に分裂したことになります。

コソヴォの独立に伴う内戦は1998年から本格化しました。この内戦の経緯は、他の旧ユーゴ後継諸国のものとは大きく異なりました。クロアチア内戦やボスニア内戦が、基本的に現地の武装勢力間の戦闘であったのに対して、コソヴォ内戦は、独立を志向するコソヴォの多数派住民、アルバニア人の独立に向けた戦闘を特にアメリカが後押しし、NATOの空爆、それも国連安保理決議を経ずに行われた空爆によって決着したのです。1999年6月のことでした。コソヴォの首都プリシュティナには、当時のアメリカ大統領ビル・クリントンの名前を冠した大通りもあります。

やっと独立を果たしたコソヴォですが、今後の展望は決して明るくありません。コソヴォ国内の少数派であるセルビア人、その本国のセルビアはコソヴォの独立を決して認めていません。コソヴォ北部のセルビア人地域を実質的に管理しているのは、セルビア本国です。経済的パフォーマンスは惨憺たるものです。日本はコソヴォの人道支援に積極的に関わり、その為もあって、私が3月初めにコソヴォを訪れた際に日本は大人気でした。今後も、日本の支援はコソヴォの国造りに欠かせないものとなるでしょう。

目を世界に転じてみますと、独立前のコソヴォのように、「自称独立国」が数多くあります。現在の国際社会においては、国家は独立を宣言しても、それが国際社会によって承認されなくては無意味です。「自称独立国」としては、キプロスの北キプロス共和国が有名ですが、旧ソ連地域にもそうした例が数多くあります。アゼルバイジャンのナゴルノ・カラバフがその代表例です。これらの「自称独立国」とそのホスト国との関係は、今後、注視していく必要があります。そしてそれらと一緒に論じることはもちろんできないとはいえ、台湾をめぐる問題もしばしば国家の独立に深く関わってきます。

現代はグローバリゼーションの時代と言われ、独立国家における主権の意義の低下が久しく叫ばれてきました。しかしこのように国家の独立は、少なくともいましばらく、国際政治における重要な争点になりそうです。

http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/kosovo/

日本におけるM&Aの今後

根岸 祥子 投稿者 根岸 祥子 : 2008年6月18日

去る6月16日、経済産業省から「ファンド事例研究会」による報告書が発表されました。これは、サブプライムローン問題で大混乱に陥った世界金融市場において、新たな資金供給源としてのファンドの役割を見直すため、ファンドをさまざまな角度から検証したものです。ファンドに対するネガティブなイメージが先行し、正しい理解が不足しがちである中、ファンドの活動を類型別に検討し、それぞれの意義やその投資効果について分析しています(下記参考ページ)。

最近、一部のファンドが、日本企業に対してあまり友好的でない投資行動を行なっています。とはいえ、この報告書でもまとめられているように、これからの日本の金融市場において、ファンドは銀行など従来型の金融機関に代わり、リスクを伴う事業、特にM&A(企業合併・買収)に大規模な資金を提供する「リスクマネー」という役割を担っていくと期待されています。

では、日本におけるM&Aは今後増えていくのでしょうか?今日、M&Aは大企業の経営効率化に貢献するばかりでなく、後継者不足に悩む中小企業の存続にも有効な手段となっています。また、2007年5月に「三角合併」が解禁され、外資による日本企業の買収が活発になることが予想されます。三角合併とは、外国企業が日本に子会社を作り、その子会社に買収対象である日本企業を合併させる手法で、その際に買収先企業の株主に子会社の保有する親会社(外国企業)の株式を交付することにより完全子会社化が可能となります。実際に、今年1月には、この三角合併を用いた外資による最初の大型M&Aである、米国シティグループによる日興コーディアルグループの完全子会社化が成立しています。

しかしながら、今後の日本経済にとって、国内企業同士や外資によるM&Aを増やすだけでは十分ではありません。M&Aがもたらし得る便益―経営資源の有効利用促進、抜本的事業改革、産業再生効果―を最大化するためには、外資に対する規制緩和や国内の税制改革など、さまざまな法・制度の整備が必要となるでしょう。

【参考ページ】 経済産業省「ファンド事例研究会報告書概要」(PDF:92KB)